JALグループは2026年3月3日、新たな成長戦略「JALグループ経営ビジョン2035」を策定したと発表した。これまでの「5ヵ年中期経営計画+ローリングプラン」から「10年ビジョンと機動的な単年度計画」へと経営スタイルを転換し、抜本的な事業変革と柔軟な短期対応の両立を目指す。
新ビジョンの下では、多様な外部環境の変化を踏まえつつ、変化に強い事業ポートフォリオを構築する。JALは2030年度にEBIT3,000億円、2035年度には3,500億円超の利益水準を目標として掲げた。これを実現するため、今後5年間で合計2兆円を超える戦略的投資を予定している。
戦略は「Growth(成長)」「Sustainability(持続可能性)」「Social Impact(社会的インパクト)」の3軸に基づく。
成長分野では、2030年度の国際線ASK(有効座席キロ)を2025年度対比で1.3倍に拡大。大型機材の導入やLCCの規模拡大で航空旅客・貨物の需要増に対応し、特にアジア-欧米間の航空物流へ供給力を強化する。マイル・ライフ事業については5カ年で800億円の戦略投資を行い、グローバル連携の拡充で非航空領域への展開、2030年度EBIT700億円への成長を目指す。
持続可能性への取り組みでは、国内路線事業の構造改革を進める。インバウンド需要の取り込みやデジタル化、業界協調、コスト抑制などで2028年度には国内路線EBIT600億円・利益率10%超の安定基盤を築く。さらに、SAF(持続可能な航空燃料)の普及やCO2排出量削減にも注力し、2050年の排出実質ゼロに向けた官民連携を推進する。
社会的インパクトでは、JALの航空事業アセットやパートナーとの共創によって、地域や企業の生産性・ウェルビーイングといった付加価値向上に努める。次世代モビリティ事業では、独自のAMOP(Air Mobility Operation Platform)を中核としたプラットフォーム提供により、ドローンや空飛ぶクルマによる新ビジネスの創出、2035年度に50億円規模の利益を目指す。
また全社横断的な戦略として、顧客体験(CX)の向上、新ブランドスローガン「Soaring Together」の導入を実施。人的資本経営やDX推進では、今後5年で2,600億円規模のテクノロジー投資と年平均800億円の人材投資を行い、生産性向上と社員ウェルビーイングを両輪で強化する。安全面では事故ゼロの維持を追求する。
財務面では自己資本比率45%程度を堅持しつつ、EBITマージン10%超・ROIC9%超を目指す。配当性向35%程度、総還元性向も50%を目安とするなど、株主還元も強化する。2026年3月期連結業績見通しはEBIT2,050億円に上方修正。年間配当予想も1株あたり96円に増額した。
JALグループはこのビジョンをもとに、持続的な変革と事業成長の実現を目指す。
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