バブル経済崩壊並みのコロナの影響、経済の復調は2年先?
セミナー冒頭、筑波大学で経営戦略論を専門とし、とりわけデジタル戦略との関係性について深く研究してきた立本氏は、市場の変動性を表す「ボラティリティー(Volatility)」を示し、「市場に対するコロナの影響は、リーマンショックよりも大きく、1990年代のバブルよりも同等かやや小さいと推測される」と語る。しかし、IMFの予測によれば、2019年の経済水準に戻ると予測される時期は、中国・インドなどが2020年の秋頃と早々であるのに対して、欧米諸国など先進国は2121年末とされているという。「2年間はコロナによる影響を引きずると考えるべき」(立本氏)というわけだ。
ただし、新型コロナの経済的な影響は、業界ごとはもとより、同一業界内でもその業態によって大きくその様相は異なるようだ。クレジットカードの利用分析(ナウキャスト「JCB消費NOW」)によると、リテール業界においては、百貨店や鉄道、航空、ホテル、映画館や遊園地などでは売上が大きく減少しており、スーパーマーケットやコンビニなどでは売上が増加している。新型コロナの影響はマイナス面がクローズアップされがちだが、プラスとなった小売分野も少なからず存在し、日本だけでなく米国など諸外国でも同様の傾向が生じているという。
米国censusの予測によると、リテール業界においては食品スーパーとネットECの売上は堅調に増加するとされながらも、自動車や家具・家電、衣料品などの店舗販売は軒並み厳しいとされている。