インタビュー 「大企業による新規事業」のリアル

アイティクラウド黒野氏はどのようにして“強い”ビジネスモデルの事業を立ち上げたのか

第12回 ゲスト:アイティクラウド株式会社 黒野源太氏

 新規事業開発に携わる方へのインタビューを通じて、大企業内の新規事業開発における美学を探る本シリーズ。今回のゲストは、ビジネス向けIT製品・クラウドサービスの口コミサイト「ITreview」を運営する、アイティクラウド株式会社代表取締役社長の黒野源太氏です。
 ソフトバンクグループのSB C&S株式会社から子会社として独立するまでに2つの新規事業の立ち上げを経験している黒野氏に、過去の事業の経験を生かした新規事業の立ち上げ方やITreviewのマネタイズの工夫、社内での説得方法、新規事業担当者に必要な心構えなどを聞きました。聞き手は本気ファクトリー株式会社代表取締役の畠山和也氏です。
※取材はマスクを着用し、ソーシャルディスタンスを保って行っています。

[公開日]

[語り手] 黒野 源太 [聞] 畠山 和也 [著] フェリックス清香 [写] 和久田 知博 [編] 梶川 元貴(Biz/Zine編集部)

[タグ] スタートアップ 事業開発 SaaS 企業内起業

  • ブックマーク
  • このエントリーをはてなブックマークに追加

高い有料契約率を誇るITreviewのビジネスモデル

畠山和也氏(本気ファクトリー株式会社代表取締役、以下敬称略):ITreviewのビジネスモデルを最初に聞いたときに、「なんと強いビジネスモデルなんだ!」と興奮したことを覚えています。まずはITreviewの内容を教えていただけますでしょうか。

黒野源太氏(アイティクラウド株式会社 代表取締役 兼 CEO、以下敬称略):ITreviewは、ビジネス向けIT製品・クラウドサービスのレビューが集まるWebサービスです。飲食産業における食べログのように、IT製品を実際に利用しているビジネスユーザーの口コミを掲載しており、IT製品を導入しようと検討中の方はその評価を口コミによって知ることができます。サービスベンダー(メーカー)さまは無料でITreviewに製品の情報を登録いただけますが、現在登録いただいているベンダーさまのおよそ5社に1社は有料登録をいただいております。

畠山:有料登録の比率が非常に高いですが、どのような理由があるのでしょうか。

黒野:有料登録いただくと、サイトには公開していないレビューの詳細内容を把握できたり、ユーザーの声に返信できたり、コンテンツの二次利用ができたりします。それらを自社のマーケティングやカスタマーサクセスに活用するために登録いただくケースが多いですね。

畠山:基本的に無料で使えるサービスだと、課金ポイントの設計に苦労しがちですが、ITreviewは有料版の価値を感じてもらうポイントが明確ですね。BtoBサービスの口コミということで、集客も比較的容易なのではないでしょうか。

黒野:レビュー数も増えましたし、アクセスも月間150万PVほどあります。また、「製品・サービス名+口コミ」で検索すると、ITreviewが1ページ目に表示されます。ベンダーさまは自社の製品・サービスの口コミは当然気になりますから、検索をしますよね。それでITreviewを発見し、まずは無料でと登録してくれます。そこから有料版の紹介をし、価値を感じていただいたベンダーさまに有料登録していただいています。

畠山:ベンダー各社は競合の動向を観察しているので、競合調査の流れでたどり着くことも多そうですね。

黒野:そうですね。レビューによって認知度と満足度の両方が高いとわかった製品・サービスには、ITreview上で「LEADER」というバッジがつきます。これは純粋に高評価を得た製品につけるものですが、有料登録だとそのバッジを二次利用できるようにしています。ITreviewを知らないベンダーのマーケターも、競合がバッジをつけて「ITreviewで『LEADER』をもらいました!」とマーケティングしていたら調べますよね。そしてITreview内に自社の製品・サービスの口コミがあると知って、登録してくれる。ITreview自体が口コミのような形で広まりやすいビジネスモデルにすることを意識しています。

バックナンバー