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ミスミ吉田氏が語る、DXによる「ものづくり産業の勝ち姿」──2つの構造的な課題への処方箋とは?

Biz/Zine Day 2020 Autumn レポートVol.5:株式会社ミスミグループ本社 吉田光伸氏

 日本の基幹産業である製造業は米中貿易摩擦、さらには新型コロナウイルスといった外部環境の変化に他業界以上の大きな打撃を受けた。また、それ以前から労働力・労働時間の減少という構造的な課題を抱えてきた。持てるポテンシャルを解放するには、労働生産性改革は待ったなしの状況と言える。「Withコロナ時代のサプライチェーン革命」をテーマに開催した「Biz/Zine Day 2020 Autumn」では、ものづくり産業の裏方として取り扱い部品3,100万点、グローバル顧客基盤31万社の製造現場を支えるミスミグループ本社の吉田光伸氏が、デジタルトランスフォーメーション(DX)を通じた「ものづくり産業の勝ち姿」を提示した。その模様をお届けする。

[公開日]

[講演者] 吉田 光伸 [取材・構成] 鈴木 陸夫 [写] 和久田 知博 [編] 栗原 茂(Biz/Zine編集部)

[タグ] 企業戦略 調達 コロナ禍 製造業DX 労働生産性改革

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日本の製造業のいまだ高い国際競争力、低下の一途を辿る労働生産性

 1962年創業のミスミは、機械部品の製造販売を行う企業グループ。製造業を下支えする社会インフラを担う存在であり、業界で初めてカタログ販売を始めたことでも知られる。取り扱う部品の種類は約3,100万点。バリエーションの数は800垓(がい)を数えるという。

 吉田氏はNTT、日本オラクルを経て同社に入社。製造業のDXを推進するものづくりプラットフォーム『meviy』を立ち上げた。『meviy』立ち上げの背景にある製造業の課題を次のように整理する。

「製造業はGDPの2割を占める日本の基幹産業。世界シェアの60%以上を占める商品は270個あります。これは米国の約2倍、中国の6倍近い数字であり、国際競争力は非常に高い。しかし、問題は労働生産性です。2000年時点で世界一だった日本の製造業の労働生産性はその後、凋落の一途を辿っています。2017年にはOECD加盟国で半分より下まで落ちています」
出典:『2019年版ものづくり白書』/経済産業省・厚生労働省・文部科学省の3省による共同執筆

 新型コロナウイルスや米中貿易摩擦など、外部環境が激しく変化する中、数ある産業で大きくその影響を受けている1つが製造業、特に中小企業だと吉田氏は言う。だが、こうした外部環境の変化は脅威でもあるが、機会でもある。米国におけるEコマースの普及率は、コロナ禍の直近3カ月で、過去10年分に該当する成長を遂げた。

 従来のビジネスには、あらかじめ様々なケースを想定し、準備し、組み立てていく「予測型」が多かったが、VUCAの時代にこれまでのような予測は立たない。脅威や機会をいかに早く察知できるか、それに合わせてアセットを再結集し、競争優位性を作っていけるか、持続的にそれを行うために組織を絶えずトランスフォームしていけるかが問われていると吉田氏は言う。

 「巷で騒がれるDXもこうした文脈で理解できる」。紙中心のアナログなビジネスプロセスから脱却し、デジタル化していくことは不可欠となっている。

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