本調査は、人びとの科学に対する意識や興味関心について調べており、日本を含む14ヵ国において2018年から毎年実施しているもの。新型コロナウイルス感染症(以下COVID-19)の拡大により、世界中の人びとの科学に対する意識は変わりつつあるという。
グローバルの調査結果では、人びとの科学に対する意識が向上していることが明らかになった。また、持続可能な解決策の重要性、STEM教育における性別・人種間の不平等解消の必要性、諸問題の解決に向けた官民連携への期待が示された。
COVID-19の感染拡大により、世界の人びとの科学や科学者への信頼度は2018年の調査開始以来最高となり、89%の人が「科学を信頼している」と回答し、86%の人が「科学者に対する信頼」を示している。
今回の調査は各国約1,000名を対象にCOVID-19のパンデミック前(2019年8月~10月間、14ヵ国対象)とパンデミック期(2020年7月~8月間、11ヵ国対象)の2回に分けて調査。日本の調査結果は次の通り。COVID-19の感染拡大後には人びとの意識に顕著な点が見られたとしている。
調査結果1:科学に対する懐疑的な意識が減少するも科学に触れる機会は変わらず
COVID-19の感染拡大後、日本では科学に対して懐疑的な意識を持つ人は、第一回目(2018年) の調査以来、初めて減少(11ポイント減)し、科学に対する重要性を認識する人が増加。しかし、科学を提唱する意識に大きな影響は見られなかった。パンデミック前の調査で、日本では「科学がもたらすメリットを議論する際に、科学を擁護している」と答えた人は9%に留まっていた(グローバル20%)。パンデミック期の調査結果でも、「感染拡大をきっかけに、科学を提唱する気持ちが強まった(ソーシャルメディアで科学関連の記事をシェアする等)」と答えた人が20%に留まる一方で「提唱する気持ちが弱まった、または変わらない」と答えた人は80%に上った(グローバル46%)。
調査結果2:STEM人材育成の鍵は魅力的な教育機会と具体的なキャリアの提示
日本では85%の人がCOVID-19の拡大の抑制に対して政府によるリーダーシップを期待。他方で、日本で将来的なパンデミックや疾病の予測や回避には民間企業の力が必要と回答している人は世界平均の61%より13ポイント高い結果(74%)となり、調査国の中で最も高い数値となっているという。
調査結果3:パンデミックへの対応には官民連携のリーダーシップを期待
日本では85%の人がCOVID-19の拡大の抑制に対して政府によるリーダーシップを期待。他方で、日本で将来的なパンデミックや疾病の予測や回避には民間企業の力が必要と回答している人は世界平均の61%より13ポイント高い結果(74%)となり、調査国の中で最も高い数値となっている。
調査結果4:持続可能な社会を実現するための科学や企業の役割に注目
持続可能な社会を実現するために科学は重要な役割を担う。パンデミック前調査の日本の結果では、特に「再生可能エネルギーの普及拡大」や「気候変動問題の解決」に対して、科学には非常に大きな役割が期待されている(ともに47%が「科学は重要な役割を担う」と回答)。また、企業活動においてもこの流れを無視することはできない状況にあり、社会の一員として持続的な社会を実現するためのアクションが期待されている。