東京大学と、100%出資会社である東京大学協創プラットフォーム開発(以下、東大IPC)は、東大IPCが無限責任組合員となり2020年に組成したオープンイノベーション推進1号投資事業(以下、AOI1号ファンド)が、この度の増資でファンド総額が240億円を超えたことを発表した。これにより、今後は20億円規模の大型投資も可能となる。なお、最終クローズは本年6月末を予定しているという。
今回増資を実現したAOI1号ファンドは、「企業とアカデミアとの連携によるベンチャーの育成・投資」というコンセプトを持ち、カーブアウトベンチャーの創出や、各業界のリーディングカンパニーと連携した新会社設立及びそれらのアセットを有効活用するベンチャーへの投資を行うもの。
AOI1号ファンドは、東京大学が構想するイノベーション・エコシステムの構築を進める上で不可欠なものとして、東大IPCが設立された2016年より設計を進められてきた。東京大学ではその基盤として、日本経済団体連合会(経団連)との連携や、企業との大型の産学連携を推進するなどの環境整備を進めてきた。東大IPCでは、日本における類例ファンドやカーブアウトといった投資方法の成功事例が乏しいとされる中で投資の実例を示すべく、直近で必要となる規模約28億円にて2020年にAOI1号ファンドをスタートさせた。
AOI1号ファンドでは、企業の持つさまざまなアセットに対し、東京大学が蓄積してきた学術成果及びベンチャー化に関する知見そして人材とを掛け合わせる取り組みを行なってきた。その結果、直近1年間で、AOI1号ファンドよりカーブアウト・JV案件3社の組成を主導。また、東大IPCが東京大学と共催し業界のリーディングカンパニーと共に運用するインキュベーションプログラム「1stRound」を通じて、シードベンチャーと大手企業の連携を数多く実現し、その中から3社への投資を実現している。
AOI1号及び東大IPCのこれらの先進的な取り組み並びに投資実績が評価されたことで、その活動をさらに拡大すべく今回の増資が実現した。東京大学と共に既存のLP出資者である三菱UFJ銀行、三井住友銀行からの追加出資に加えて、SBIグループ、ダイキン工業、日本政策投資銀行グループ、博報堂、芙蓉総合リース、三菱地所を新たなLP出資者として迎えたことで、総額はこれまでの約10倍となる241.15億円へと規模が拡大。AOI1号の最終クローズは 6月末日を予定している。
今回の増資を通じ、AOI1号では、数千万円のシード投資から20億円規模の大型投資まで幅広く対応するファンドとして、環境・エネルギー関連といった大きな資金を要する領域を含むさまざまなベンチャーに初期段階から投資を行っていくとしている。