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「大企業による新規事業」のリアル

ソニー對馬氏に聞く、新卒1年目で実践したwena事業立ち上げの秘訣と成長への工夫

第17回 ゲスト:ソニー株式会社 對馬哲平氏

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 新規事業開発に携わる方へのインタビューを通じて、大企業内の新規事業開発における美学を探る本シリーズ。今回のゲストは、ソニーに入社し、1年目でスマートウォッチ「wena wrist」を提案、2年目で製品化を実現したwena事業責任者の對馬哲平氏。  wena wristは時計のバンド部分にスマートウォッチ機能を搭載し、様々な時計をスマートウォッチ化する製品です。多くの企業で難航する新規事業を入社1年目にしてスタートさせ、既に第三世代まで商品が出すことができた秘訣を對馬氏に聞きました。聞き手は本気ファクトリー株式会社代表取締役の畠山和也氏です。

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新卒入社1年目で新規事業創出プログラムに応募した理由

畠山和也氏(本気ファクトリー株式会社代表取締役、以下敬称略):通常のスマートウォッチは盤面部に機能が搭載されていますが、wenaはバンド部分に機能が搭載された商品ですよね。概要を教えてください。

對馬哲平氏(ソニー株式会社 モバイルコミュニケーションズ事業本部 wena事業室 統括課長、以下敬称略):腕時計にwenaをつけることによってスマートウォッチにできる商品です。一般的な男性用の時計のラグ幅(時計バンドの取り付け部分の幅)であれば、多くの時計がスマートウォッチ化できるので、ロレックスやオメガといった好みのブランドなど“身につける喜び”が重視されるアナログ時計に、機能性を追加することができます。

 2020年10月に発表した第三世代のwena 3では、バンド部ではなくバックル部に機能を集約することができたので、このスマートバックルを様々な時計メーカーに供給する形の協業も始まりました。

畠山:wenaの事業は新卒1年目でスタートしたと聞いています。どんな経緯だったのでしょうか。

對馬:学生時代、まだApple Watchも出ていない8、9年前から、スマートウォッチやスマートバンドの利便性を好んでいました。同時に、アナログ時計の“身につける喜び”も好きでした。そのため、時計とスマートウォッチを両方つけていたのですが、周囲からあまり受け入れられていないなと感じたのが、wenaを考えついた最初のきっかけです。

 学生時代には大学発の顕微鏡を取り扱うスタートアップでアルバイトをしており、そこでスマートウォッチ事業を立ち上げを考えたのですが、スタートアップでハードウェアを作るのはハードルが非常に高く、そこで自分の求めるものは作れないと感じました。そこで、大企業で技術があり、かつチャレンジができそうな環境を求めてソニーに入社することにします。

 2014年4月の入社当時は、数年間エンジニアを経験し、一人前になったタイミングで自分の事業を立ち上げようと考えていました。しかし、各社が2013年ぐらいからスマートウォッチを開発・発表し始めており、経験を積んだ数年後の自分にチャンスがあるのかわからないという焦りを感じました。そこでちょうどその春にできたばかりのスタートアップの創出と事業運営を支援する「Sony Startup Acceleration Program(以下、SSAP)」に応募することにします。2014年の秋に応募して合格し、翌2015年春からプロジェクトがスタートしました。

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この記事の著者

フェリックス清香(フェリックスサヤカ)

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