「マルチモーダル×DBXフレームワーク」で新たなビジネスモデルを創出する
それでは、こうしたデータ活用によって、企業はどのようにして事業開発を行うべきなのか。久米村氏は「DXとはデジタル技術を活用して、競争優位性を構築するためにビジネスを変革すること。すなわちライバルを出し抜く必要がある」と語り、「そのために大事なのがデータ活用」と力を込めた。
そして、その解として、“データ活用”の基盤を含めた変革、すなわち“データビジネストランスフォーメーション”が重要であることを強調。それによる“ビジネスモデル変革”と、前出の“マルチモーダルデータ活用”が組み合わさることによって、最強のDXがかなうのだという。
それでは、新たな事業開発、データビジネスを創出するポイントとはどのようなものか。久米村氏は、いまだ解決していないシステムの“課題”に対して、データを活用した解決策としての“ソリューション”を示し、将来的に利益回収ができる“ビジネスモデル”を実現することが重要だと語る。さらに、その組み合わせは「関係性構築」「オペレーション変革」「リスク回避/インサイト変革」の3つに集約され、成功する多くの企業がこのすべてを網羅しているという。
1.関係性構築(エンゲージメント)
顧客理解データ基盤としてのDMPに、サービス連携・統合データ基盤のDMPを融合させて最適化を図り、顧客理解とサービス提供を融合させること。それによって、顧客エンゲージメントを向上し、新たな顧客価値の創出を図る。Amazon、Uberなどの巨大IT企業が既に取り組んでおり、レコメンドエンジンを持っている事業体の多くがここを目指すことになる。
2.オペレーション変革
オペレーションの上流から下流までをデータ統合することで、サプライチェーン全体での利回りの最適化を図るというもの。具体的にはダイナミックプライシングや予算の最適化などが行われる。
3.回避・発見(インサイト)
ビジネスインテリジェンス、ビジネスアナリティクスの領域に該当する。社内システムの融合によって、データから未来予測を行い、意思決定をより確実なものにしていこうというもの。いわゆる「データドリブン経営」を実現させるものである。
久米村氏は、「これらの3つのDBXフレームワークを、前述した4つのマルチモーダルの活用例に掛け合わせると、新規事業を続々と生み出せる」と語り、「一番伝えたいポイント」と強調した。つまり、これをそれぞれの企業について、まだ解決されていないシステムの課題についてDBXフレームワークを用い、それを解決するためのデータを活用した手法としてマルチモーダル活用を掛け合わせると、12パターンの切り口でビジネスモデルを無数に作ることができるというわけだ。
久米村氏は、12パターンの切り口で具体的なビジネスモデル例を挙げ、「関係性構築×マルチモーダルサービス」による新たなビジネスモデル「個人に向かうAIエージェント」について詳しく紹介した。