ローカライズで押さえるべき「QCD」とは?
企業のウェブサイトをローカライズする際に考えるべきポイントは、Quality(品質)、 Cost(費用)、 Delivery(納期)のバランスだとした上で、早坂氏は次のように説明する。
「Qualityとは、求められる翻訳品質はどの程度なのか。たとえば、製品の成分や規約内容の場合、誤訳のリスクはどの程度あるのか考える。Costとは、翻訳に対してどのくらいのコストをかけるか。コストは翻訳の範囲、言語数、コンテンツの更新頻度で増減するためです。Deliveryとは、納期のことで、どのくらいリアルタイム性が求められるか。品質を求めて人力翻訳を選択すれば納期は遅くなっていきます。反対に、たとえば、マーケットを取るためにプレスリリースの情報を高速で配信したければ選択肢は変わります。これらQCDのバランスを考慮して最適な翻訳手法を選択し、ハイブリッドで対応できる体制を組む必要があるのです」
翻訳手法に関して、「WOVN.io」では「機械翻訳+用語集」「ポストエディター(機械翻訳後の人力修正)」「人力翻訳」の3種類があり、これらを組み合わせた柔軟な対応が可能だ。機械翻訳の質を懸念する声もあるが、ブランディングの観点で注意を払うべき固有名詞などは、「WOVN.io」上の用語集への登録が可能だ。さらに、一度翻訳された結果はデータ化していくため、翻訳データは顧客の資産となる。
Webサイトには色々な目的があり、タイプごとに適切な体制を組む必要がある。たとえば、社内向け情報サイトであれば、情報量は多いが、品質は求められない可能性が高い。よって、機械翻訳を行った上で固有名詞や専門用語の用語集を「WOVN.io」上で作成すれば事足りる。逆に、ブランディングやキャッチコピー、法律、医療関係の情報は品質を求められるが、情報量は少ないため、人力翻訳で品質を担保する必要がある。
つまり、ビジネス目標やWebサイトのあり方を明確にして、QCDの観点から膨大なコンテンツを適切な翻訳範囲・手法に絞り込むことがポイントとなるのだ。
ニュアンスやメッセージ、コンテキストが重要な高トラフィックページには人力翻訳が必要な一方、些細な問題がユーザーやブランドに影響しづらいコンテンツには機械翻訳で十分ということだ。Wovn Technologiesでは、これらの手法を全て一つのプラットフォームで利用可能で、様々な企業のゴール達成に対しての手段としてサポートできると早坂氏は述べた。