共同プロジェクトチームは、2019年4月より信州大学農学部において、肉用牛の放牧飼育管理に焦点を当て、アニマルウェルフェアに配慮しつつ、その管理作業を低コストで実現する仕組みの実証実験を行ってきた。放牧牛に首輪型センサを取り付け、放牧牛の飲水・摂食、伏臥位、立位、歩行などの複雑な行動や姿勢の情報をAI処理により推定する技術検証をこれまでに実施し、放牧牛の遠隔モニタリングを行う首輪デバイスとクラウドアプリケーションなどで構成するシステム 「PETER」を開発した。
今回の実証実験は、この取り組みを、放牧牛を担保とするABLに応用する試み。従来から畜産ABLに積極的に取り組む鹿児島銀行と、放牧を中心に飼養を行っているさくら牧場が本実証実験に協力することで、銀行のABL業務と畜産経営の両面からPETERの放牧牛ABLへの有効性を検証し、追加すべき機能の洗い出しや課題の抽出などを行うという。
実証のポイント
この実証実験では、さくら牧場の放牧牛10頭にPETERの首輪デバイス(PETERエッジ)を装着し、アプリケーションで放牧牛の遠隔モニタリングを行う。PETERエッジで計測した放牧牛の位置データと活動データに加え、牧場内の環境データをクラウドに集約し(PETERクラウド)、銀行がABL業務を行う上で有効なデータ項目の抽出とPETERクラウドを介した銀行へのデータ提供のあり方を検証する。PETERを活用したABLの実現性検証の取り組みを通じ、畜産農家と銀行の情報連携の効率化と畜産ABLの更なる利用促進を目指すとしている。