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上場ベンチャーの成長戦略

上場ベンチャー「成長の谷」の正体とは? グロース・キャピタル嶺井氏、一橋大・鈴木教授が共同研究で提言

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 代表取締役社長の嶺井政人氏が本誌でも連載中のグロース・キャピタル株式会社はこのほど、一橋大学大学院経営管理研究科の鈴木健嗣教授とともに「上場後の成長の谷に関する共同研究」を実施。メディア向け勉強会を8月30日にオンライン開催した。本稿では研究レポートの概要と、嶺井氏、鈴木氏、経済産業省経済産業政策局・安藤裕介氏が「ベンチャーが上場後も成長を続け、日本からイノベーションを起こし、新産業を創造するには」をテーマに行ったディスカッションの内容を紹介する。

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上場後に成長が止まる日本のスタートアップ

 バブル崩壊以前の1989年当時の世界の時価総額ランキングTOP20には、銀行や製造業をはじめとした14社もの日本企業がランクインしていた。ところが、2021年の最新のランキングでは、GAFAをはじめとした新産業が台頭し、日本企業は姿を消した。

 なぜ日本からはGAFAのような世界で戦える企業が生まれないのか。共同研究はこうした問題意識を背景に、日本からイノベーションを起こし、新産業を生み出すためのボトルネックを明らかにすべく行われた。

 レポートによれば、日本国内のスタートアップがこの10年で伸びていることは間違いない。資金調達額は2011年からの10年で5.6倍に。マザーズ、ジャスダックの新興市場に上場した企業数も、2011年の27社に対して、2020年は77社と2.9倍まで増えている。

上場後の成長の谷に関する共同研究レポートクリックにて拡大

上場後の成長の谷に関する共同研究レポート図版出典:一橋大学 鈴木健嗣教授、グロース・キャピタル株式会社「上場後の成長の谷に関する共同研究レポート」より
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 問題は「上場した後の成長」だ。新興3市場の上場後の業績推移を見ると、全体の4分の1以上の企業は、上場後3年間のCAGR(年平均成長率)で売上成長が見られない。営業利益は上場期からの3年間で、中央値-0.6%、平均値2.3%の成長にとどまっている。

上場後の成長の谷に関する共同研究レポート図版出典:一橋大学 鈴木健嗣教授、グロース・キャピタル株式会社「上場後の成長の谷に関する共同研究レポート」より
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 新興市場上場後の時価総額推移で見ても、約半数の企業(中央値)がほぼ成長していない。平均値では一部の高成長企業のおかげでプラスになっているものの、1期後23.7%、3期後66.3%にとどまっており、高成長とまでは言えない。「景気の動向などもあるから一概には言えないが、中央値がこれくらいなのは止むを得ないとしても、上位の成長の伸びは気になるところだ」と鈴木氏は言う。

上場後の成長の谷に関する共同研究レポート図版出典:一橋大学 鈴木健嗣教授、グロース・キャピタル株式会社「上場後の成長の谷に関する共同研究レポート」より
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 2013~19年に新興市場に上場した企業447社のうち、2021年3月30日時点で5000億円の時価総額に達した会社はメルカリとぺプチドリームの2社。1兆円以上の企業は1社もない。東証一部への直接上場を含めても、リクルートホールディングスなどひと握り。以上のことから、日本のスタートアップは上場後に大きな成長を実現できていないことが分かる。

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