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『小売の未来』“4つの領域”で優位性確保と差別化を図り“ニューメディア戦略”で卓越した体験を提供せよ

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 コロナ禍において、小売業界は大打撃を受けました。一方、アマゾンなどに代表される巨大ECは人々の生活に必要不可欠なものとなり、急激に売上を伸ばし続けています。実店舗型の小売形態は、このまま衰退してしまうのでしょうか。  今回は、小売業界に生き残りのヒントを与える書籍『小売の未来』(ダグ・スティーブンス 著/斎藤栄一郎 訳・プレジデント社)をご紹介。本書で書かれている「リテールに新たな価値を生み出す“4つの領域”」と、「新時代を生き抜く店舗の“ニューメディア戦略”」について解説します。

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リテールに勝ち筋をもたらす“4つの領域” 2つを選んで支配者となれ

 “リテール”と一口に言っても、その形態や特徴はさまざまです。商品は少ないが熱狂的な信者を持つハンドメイド製品のショップや、店舗スタッフの対応がコンシェルジュのように手厚い高級ブランドショップなど、商材や顧客ターゲットの種類と同じ数だけリテールタイプが存在しています。

 その中で、自社の事業と相通ずるタイプを見つけ、優位性を築くことが重要となってくるわけですが、本書ではリテールタイプに基づくモデルについて、「新しい時代の価値を生み出す4つの領域」として紹介しています。

カルチャー

 独自の魅力的な「カルチャー」を顧客に訴求し、その良さを啓蒙していくことで優位性につなげる領域であり、組織の信念や慣習、成果物で構成されるといいます。この領域に強い小売業者は、カルチャーを売りにしたブランドによって、熱烈なファンや信奉者を獲得できるとしています。

エンターテインメント

 五感に訴える要素を活用することで、ショッピング中の消費者を物心両面で虜にする領域。エンターテインメント性を主軸にしたブランドは、商品そのものは二次的なものとしており、商品を取り巻く体験に重きを置いているといいます。

ノウハウ

 特定カテゴリーでのノウハウを強みに持ち、顧客に対しワークショップやセミナー、コンシェルジュ顔負けのサービスで最高水準のノウハウを提供できる領域だと書かれています。ノウハウを主軸とするブランドは、スタッフの確保や育成、ノウハウの提供ツールなどといったテクノロジーの活用に投資する必要があるそうです。

商品

 商品の開発やプラットフォームの研究などに重点投資し、買収や独占を通じた消費者・購買への影響力行使も行う領域だといいます。消費者が最初に思い浮かべるブランドを目指すのが、この領域の特徴だそうです。

 本書は、以上の4つの領域の中から「2つを選んで支配者となれ」と述べています。

 しかし、これは「2つの領域で優位性を築く」という意味ではありません。「1つの領域で優位性を築き、もう1つの領域では差別化を図れ」ということだそうです。

 たとえば、企業が持つ独特の信念をビジネスモデルの随所に散りばめ、「カルチャー」領域で支配的地位を確立する一方で、スポーツやシチュエーションなど専門的な「ノウハウ」領域で他社と差別化を図るといった例が挙げられます。1つの優位性と複数の差別化に支えられ、特定カテゴリーを極めることによって、アマゾンなど包括的にカテゴリーを抱え込む企業との勝負を避けられるのです。

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この記事の著者

名須川 楓太(Biz/Zine編集部)(ナスカワ フウタ)

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