ケアの反対語は「選択」である。対話的アプローチでケアを実践し自発性を引き出す
日置氏が挙げた「“勝ち”にこだわる」という姿勢は、宇田川氏が着目する「自発性」につながる。「他社に勝つ」とか「株主のために勝つ」というのではなく、「よりよい社会」や「よりよい企業の状態」を実現するために“勝つ”、という意識が自発性の源になる。逆に、押し付けられた変革は、たとえ成し遂げられても自分ごとにならず、疲れだけが残ってしまう結果になりかねないというのが、両者の見解である。
宇田川氏は医療や福祉の領域における「ケア」の考え方を参考に、「ケアをする人の押し付けにならないように、そこにどんなニーズがあるのかを探っていく、対話的なアプローチが不可欠だ」と語った。例えば「働き方改革」にしっくり来ない人が多かったのも、「どういうことに困っているの?」「どういうチャンスがあるの?」といった対話的なアプローチがなかったことに問題があったのではないかと指摘した。