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大丸松坂屋百貨店が小売DXで目指す、人にこだわる新たな百貨店像──既存事業の進化と新領域への挑戦とは

Biz/Zine Day 2021 Autumn レポート Vol.5

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 創業400年の歴史を持つ老舗・大丸松坂屋百貨店は、近年の消費者の価値観や生活様式の変化を前に、リアルとデジタルをどのように融合し、ビジネスモデルを変革していこうとしているのか。「DX時代における小売業の生存戦略」をテーマに10月21日にオンライン開催した「Biz/Zine Day 2021 Autumn」から、経営戦略本部DX推進部部長・岡﨑路易氏による講演「大丸松坂屋百貨店がデジタルで目指す新たな百貨店像」をレポートする。

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業績低迷の要因はコロナだけではない

 大丸松坂屋百貨店は、1717年創業の大丸と1611年創業の松坂屋が合併する形で2010年に誕生した、日本を代表する老舗百貨店。だが、実店舗を持つ他の企業同様、コロナ禍によるダメージは甚大だった。この1年半の業績は前年比マイナス20〜30%で推移。昨年5月に1回目の緊急事態宣言が出た際には、店舗休業を余儀なくされ、文字通り「手も足も出ない状態」だったという。

 しかし、中長期の視点で見れば、同百貨店の低迷はコロナ禍以前から始まっている。この20年間、徐々にではあるが、業績は下がり続けているのが実態だった。岡﨑氏はその要因として、デジタル化、サステナビリティ、マーケットの細分化といった、外部環境の変化に対応できていなかったことを挙げる。

「特にファッション・アパレル。1980年代から続いていたビジネスモデルは、まずトレンドありき。トレンドの商品が売れると多くのフォロワーが追随するので、そのための商品を大量に仕入れ、大量に売る。そこで売れ残ったものはクリアランスセールで大規模に販売するというのが、一般的なサイクルでした。今はサステナビリティの観点から、そのような大きなロットでファッションが動かせる時代ではなくなってきています。それにも関わらず、ずっと同じことをやり続けていたということです」

 インバウンド景気もあって、そうした時代の大きな流れに気づくことができず、反省や変革のタイミングを見失っていた。そこにコロナが襲ってきたことで、「10年先の未来」が加速してやってきてしまったと岡﨑氏は整理する。

 つまり、この落ち込みは決してコロナだけが原因ではなく、終息すれば売り上げが戻るといった単純なものではない。同百貨店のDXに向けた挑戦は、自分たちの現状をこのように正しく認識するところから始まった。

一気通貫、100人体制でDXを進める新組織

 大丸松坂屋百貨店では、2021年度から中期3カ年計画がスタートした。5つの指針として掲げられたうちの1つとして「時間と場所の制約克服(DX推進)」がある。

「前述したように、2020年5月の緊急事態宣言下においては、店舗休業により、手も足も出ない状況に陥りました。それは、顧客との接点が100%店頭であったためです。営業時間という時間の制約と、店舗という場所の制約。この2つを克服しない限り未来はないと、経営陣および現場のメンバーが強い危機感を持つことになりました」

 急務であるタッチポイントのオンライン化とオンラインビジネスの確立に向け、コロナ禍の手探りながらも、いくつかのトライアルを実施してきた。現在はその手応えをもとに、ブラッシュアップを進めている最中だという。

 こうした同百貨店の全社的なDXを一手に担うのが、岡﨑氏が責任者を務めるDX推進部だ。大手IT企業へと転職し、デジタルについて知見を含めた同氏が昨年9月、同百貨店としては珍しい出戻りの形で再入社。同時に、社長直下の組織としてデジタル事業開発部が新設された。

 今春にはその部署を拡大。デジタルネイティブの新規事業開発の実行、既存事業のDX、それらを支えるシステムインフラまでを一気通貫で取り組む組織として生まれ変わった。3部門合わせて総勢約100人の大所帯に、本気度がうかがえると言えるだろう。

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この記事の著者

鈴木 陸夫(スズキ アツオ)

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