利他が「アイデンティティ」となる時代の消費スタイル
佐宗:特に若い世代で、消費の考え方が変わりつつあるように思います。端的にいうと、消費から投資へ、お金の使い方がシフトしているように思います。例えば、社会に良い活動をしているブランドを選んで買うという行為は、実は商品の価値に対してお金を払っているだけではなく、その会社を応援する投資的な活動になっているのではないかと思います。「『地球にいいものを作ろうとしている会社』を支援する自分」というアイデンティティを持てますし、将来に向かって続く関係性にお金を払っているのでしょうね。
山極:10年ぐらい前から株主優先主義が問題視され始めました。揺り戻しもありましたが、やはり今、消費者も実は商品を買うことによって、会社の経営に参加しているという意識は広がっていますよね。こういったお金の使い方の変化に伴って、変えていかなくてはいけないのは、同質なものは同じ値段であるという製品主義のあり方です。最終的に同質なものでも、できるプロセスや作り手によって価値が変わっていい。それによって生産者本位になり、生産者と消費者が人間としてつながれます。それによって共感が生まれていくんです。