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損保ジャパンのDX推進部長が語る、「社内風土改革から社会変革までを“両利き”で進める」DX戦略の全貌

Biz/Zine Day 2022 Winter レポート

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専門人材を集約したDX推進部が策定する“5つの戦略”とは?

 損害保険ジャパン(以下、損保ジャパン)は、主力である損害保険ビジネスをはじめ、事業の大きな変革に迫られている。たとえば、旧来ならばほとんどの車の所有者が加入していたような自動車保険も、車を所有する若者が急激に減少し、カーシェアリングビジネスが拡大している今では、徐々にそのニーズを後退させているのだ。

 このような状況の変化に対応し、新たな時代を生き抜くビジネスモデルを確立するため、村上明子氏(以下、村上氏)は2021年4月に損保ジャパンに入社。それとほぼ同時期に、同社は中期経営計画の中で、“マーケティング”と“イノベーション”に重点を置くことを発表し、後者の機能を担う部としてDX推進部が設立されたのである。

「DX推進部が設立されてまだ1年も経っていませんが、現在の損保ジャパンにおいてAIの活用が顕在化している領域は、下図のとおりです。保険商品を開発して販売し、顧客の保険を保全する。そして、何か起これば保険金を支払うのが我々の一般的なビジネスモデルですが、これら全ての領域においてデジタル、とりわけAIの活用可能性が顕在化しています」(村上氏)
保険におけるAIの活用領域
[画像クリックで拡大]

 DX推進部は、「全社員が、デジタル活用を思考のベースに全ての業務を『ゼロベース』で変革するとともに、お客さま・当社・社会に対して新たな価値・品質を創造していくといった風土を醸成する」というビジョンを策定しており、これを実現するために5つの戦略を打ち立てている。

  1. お客さま・代理店への新たな体験価値提供
  2. 圧倒的な生産性の実現
  3. データドリブン施策の全社展開
  4. デジタルによるビジネス拡大
  5. DX風土構築とDX CoE(Center of Excellence/センターオブエクセレンス)

 「顧客や販売代理店に新たな体験価値を提供するには、まずデータの活用が不可欠です」と話す村上氏。保険というものは、顧客の情報に基づいて料率を定めるシステムとなっているため、他業界に比べると比較的データ活用が進んでいた領域であった。しかし、販売戦略の策定などにデータを活用するまでには至っていなかった。そこで、データドリブン施策を全社に展開することを、同社のDX戦略に組み込んだのだという。

「新たな体験価値の提供、生産性の向上、そしてデータドリブン施策の全社展開を実践することで、初めて新時代に対応できるビジネスを創出・拡大できるようになると考えています。デジタルを活用する風土を築いて、ようやくデジタルによる事業成長に挑戦できるようになるということです」(村上氏)

 戦略の5つ目にある「CoE(Center of Excellence/センターオブエクセレンス)」とは、DX推進の中心となる組織、すなわち“DX推進部”のことを指す。各部署に散らばっていた数少ないITの素養を持つ人材と、外部連携やキャリア採用によって獲得した専門人材を集約し、変革の司令塔としての役割を担っていくのだ。

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この記事の著者

名須川 楓太(Biz/Zine編集部)(ナスカワ フウタ)

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