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イノベーションを支える“心”と“体”

Mentally西村氏が語る、世界最後進国の日本で企業と個人が取り組むべき「メンタルヘルス対策」

第1回 テーマ「メンタルヘルス」

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メンタルヘルス領域に注目が集まる2つの背景

──2021年10月に株式会社Mentallyを立ち上げられていますが、どのような事業をされているのでしょうか。

西村創一朗氏(以下、敬称略):「自分の心にも誰かの心にもやさしくなれる時代を実現する」というミッションのもと、メンタルヘルスやウェルビーイングに関するコンテンツを発信しています。また、メンタルヘルス問題を抱える人たちが同じ経験をしてきた人たちに相談できる、ピアサポートのプラットフォーム「mentally」の開発を進めています。

 この事業の立ち上げには、私自身の強い原体験があります。大学卒業後約6年間会社員として働き2017年1月に独立したのですが、独立後3年間で3度のメンタルダウンを経験しました。同じ病気を経験したベンチャー業界の方に相談するなど運と縁に恵まれたこともあり、この1年半は健康な状態を維持できています。そのような経験を経た後、コロナ禍でメンタルに苦しむ人が増えたり、メンタルダウンした後社会復帰・職場復帰ができず苦しむ人が多くいらっしゃったりという現状をみて、メンタルダウンから復活した者の使命感として、メンタルに苦しむ人を救うようなプラットフォームやエコシステムを作りたいと考え、Mentallyを立ち上げました。

──西村さんはご自身の原体験からMentallyを創業されましたが、世界的にメンタルヘルス領域に注目が集まっているようにも感じます。その背景を教えてください。

西村:メンタルヘルス領域が注目される背景には、「テクノロジーの発展」と「社会問題化」があります。

 そもそもWHOは、精神的・肉体的・社会的な健康を兼ね備えた「ウェルビーイング」が重要だという発信を続けていました。ウェルビーイングであることが、社会にとっても企業にとっても、そして個人にとっても大事だと言い続けてきたのです。これまではウェルビーイングであることを可視化する手段がなかったのですが、心拍数や睡眠深度、活動量などを計測することができるウェアラブルデバイスが登場したことにより、バイタルデータを個人がトラッキングできるようになりました。これはメンタルの状態を直接測るものではありません。ただ、睡眠の質や運動習慣とメンタルの状態が強い相関関係にあることから、バイタルデータを参考にメンタルの状態が悪化する前に改善策を講じることが可能となります。

 また、精神疾患を理由とした自殺者や、精神疾患の患者数、抗うつ剤の処方数が右肩上がりに増加しており、社会問題と化しています。また日本は、諸外国と比較して精神疾患の有病率は極めて低く、それにも関わらず精神疾患を理由とした若者の自殺者数が他国と比較して飛びぬけて高いということがわかっています。

日本は世界一のメンタルヘルス後進国
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 その理由として考えられているのが、日本人は精神疾患を抱えても病院で受診せず、一人で抱え込んで悪化させてしまう傾向にあるということです。精神疾患を抱えていると診断されると会社での評価が下がってしまう、昇進に悪影響を及ぼすと考えてしまったり、薬に依存してしまうのではないか、周囲の理解が得られないのではないかと感じてしまったりすることで、病院へ行くことに過度な抵抗を感じてしまっているのではないでしょうか。

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この記事の著者

梶川 元貴(Biz/Zine編集部)(カジカワ ゲンキ)

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