イノベーションを発見する「行動」のリサーチとは?

第2回:言葉だけを鵜のみにしたリサーチはナンセンス!

 生活者のニーズを探るために、アンケートやグループ・インタビューなどの様々なリサーチが行われているが、そこから得られる表面的な言葉を鵜のみにして商品を開発してもうまくいくことは稀である。今回は、言葉ではなく行動に着目することでイノベーションの種を見つけるリサーチについて考える。

[公開日]

[著] 山崎 晴生

[タグ] マーケティング 事業開発 リサーチ MROC グループインタビュー

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今回の記事でお伝えしたいこと

  1. 言葉は嘘をつくが、行動は嘘をつけない
  2. 言葉そのものを分析の対象とすることはナンセンスである
  3. リサーチ・コミュニティ(MROC)の仕組みと活用法
  4. MROCの価値は、継続的なコミュニケーションの中に表れる行動の把握にある

日本人は嘘つきなのか?

 なぜアンケートやグループ・インタビューでニーズを探り、その結果を基に行った商品開発が失敗するのだろうか? その理由は、人はホンネを語ろうとしないし、そもそも自覚していないニーズは語れないからなのだが、まずはこれらの背景から考察してみよう。

 2013年、内閣府が発表した調査結果によると、自分がよく嘘をつくと回答した若者(13~29歳)の割合は、28.9%で調査対象7ヶ国中トップである。(※1)
 嘘つきに「あなたは嘘つきですか?」と聞いて「はい」と答えられた結果は、そもそもその答え自体が本当なのか嘘なのか、解釈に悩むところではあるが、少なからず嘘の多さを自覚している日本人は多そうだ。

 日本は本当に欧米諸国より嘘つきの多い国なのだろうか? ひとつの見解として、1946年アメリカの文化人類学者ルース・ベネディクトによる「菊と刀」で指摘された欧米を罪の文化、日本を恥の文化とする考えは、大学入試などで多々取り上げられることもあり広く知られるものとなっている。(※2)

 例えば、ゴミのポイ捨てに関していえば、欧米人は「神が見ているから」と行為自体に罪を感じ、日本人は「誰かが見ているから」と周囲の評価を善悪の基準とする。つまり、日本人が最も恐れるのは、他人の目であり口であり、他人に笑われたくない、恥をかきたくないという心理から、日本人はホンネを隠しタテマエが多くなったと考えられている。最近のテレビCMで「LINEに既読をつけずにメッセージを読む方法」が話題になっていたが、これも相手からの評価を気にしたタテマエ重視の表れだろう。日本人が欧米人より嘘つきかどうかは定かではないが、少なからずホンネが見えづらい人種であることは確かだろう。

 そして、調査結果を鵜のみにした商品開発が失敗するもうひとつの理由が、人は自分が思っている以上に自分のことをわかっていないということだ。これについては、ハーバードビジネススクールの名誉教授であるジェラルド・ザルトマン博士の「人間の行動の95%は無意識に操られている」の言葉が示すとおりだ。また、一般的なアンケートやグループ・インタビューの有効性について、5%の意識的活動を調査しているに過ぎないとバッサリである。(※3)

 

 人間は1日に約1万回の意思決定をしているともいわれるが、そのほとんどが無意識下で行われており、また意識された5%についても嘘やタテマエを多く含有するのであれば、言葉の表面だけを鵜のみにした商品開発が失敗するのは当然の結果かもしれない。では、どうやってこの見えないホンネを探ればいいのかという話だが、以降、その具体的な方法について説明する。

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