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「獺祭」はこうして生まれた。旭酒造 桜井社長が語る「逆境経営」

ダイヤモンド社/DMN主催セミナー 旭酒造 桜井博志氏セミナーレポート

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日本酒に伝統の手法など無い

ニューヨークから、パリへ。積極的に海外に進出しファンを増やしている獺祭。欧米の人に日本酒がわからないというのは全くの偏見だと、桜井社長は言う。さらには、日本の酒づくりの伝統という考え方にもこだわらない。

日本酒っていうのは歴史と文化に洗練された素晴らしいものですが、反面、細部の手法とその練磨にのみこだわるというには、日本的な弱点でもあると思います。私は、「日本酒に伝統の手法などない」と思います。どういうことかといいますと、だいたい日本酒を調べてみると、室町時代に今の日本酒の米を麹で発酵させ、酵母を撹拌させるというスタイルができあがった。だけど数百年経ってみると、その当時の文献通りの日本酒っていうと今全く違うようにできているわけですね。数百年の間に全く変わってきてるんです。ワインならこんなことはありません。500年前も今も同じワイン造ってる。それは日本酒が杜氏という職人集団をもっていたのが大きいと思うんです。彼らは経営者でもないし、オーナーでもない。にもかかわらず自分たちの責任を持って工夫して改善して手法を変えていくわけですね。こういう杜氏集団という職人集団を日本の社会が持ててたんです。欧米ではこういう労働者を歴史的にはちょっと持てなかった。ここにワインと日本酒の違いがあるし、日本酒はだからこそ伝統の手法というのは無いと思うのです。

杜氏という職人集団は、日本酒の製造方法をどんどん進化させてきた。「工夫と改善」こそが日本酒の伝統なのだという。

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