南紀白浜エアポート、日本電気(NEC)、凸版印刷、マクニカ、日本航空(JAL)は、南紀白浜空港において、仮想空間にあるデジタルコンテンツと現実空間を融合させた「MR空港体験」の実証実験を開始した。
同体験では、MRグラスを装着した家族や友人など複数の参加者が一緒に、仮想空間上の飛行機へペイントを施す。ペイント完成後、ペイントした世界に1つだけのオリジナル飛行機が、実際の滑走路に実寸大のサイズで着陸する様子を、滑走路脇の場周道路で見ることができるという。5社はこれらの体験を、MR技術や大容量・低遅延でリアルタイム伝送が可能なローカル5Gを活用することにより、臨場感あふれるサービスとして実現するとしている。
みんなで作るオリジナル飛行機ペイント体験
MRグラスを装着した参加者達の目の前に、1/4.2スケールの3D飛行機が現れ、飛行機の形を感じながらクレヨンやスプレーなどを使って自由に機体にペイントを施す。参加者それぞれのペイントした情報が、ローカル5Gを介して低遅延で同期することにより、お互いのペイントの様子がリアルタイムに確認できるため、参加者全員で協力しながら1つのオリジナル飛行機作りを楽しめる。また、MRグラスをかけていない見学者もターミナルビル内のディスプレイから、参加者が飛行機にペイントする様子を見学することができる。これにより、作成する過程のワクワク感を参加者とともに見学者にも共有できるという。
3Dフライトレーダーで飛行状況を俯瞰して観賞
ペイント体験後、実際の飛行機の離発着地である羽田空港から南紀白浜空港までの地形を3D化したフライトレーダーがMRグラスを装着した参加者達の目の前に出現し、羽田空港を出発したオリジナル飛行機が映し出される。南紀白浜空港までの飛行の様子や日本上空を運航しているオリジナル飛行機を確認できる。また、富士山など日本列島上の有名スポットを探して解説を見るなど、様々な楽しみ方ができるという。
実際の滑走路を利用した、本物さながらの着陸見学
参加者は場周道路に移動後、MRグラスを装着すると、ペイントを施したオリジナル飛行機が上空に現れ、実寸大の飛行機が実際の滑走路に着陸する迫力の様子を見学できる。なお、ターミナルビル内から場周道路へは自動運転車両に乗車して移動(8月のみ実施)。自動運転車両の活用によって、今後見込まれるドライバーなどの人材確保の課題解決や運用コスト低減に貢献するという。
実証の役割分担は以下のとおり。
- 南紀白浜エアポート:実証環境提供、サービス運営
- NEC:ローカル5GとMECシステム構築
- 凸版印刷:MR体験コンテンツの開発
- マクニカ:自動運転車両提供、環境構築
- JAL:デジタルコンテンツ(ロゴ)提供、JALふるさと応援隊による支援
なお、一般客向けの体験会を下記にて実施するという。
- 日時:8月19日~8月24日(8月22日は除く)
- 参加方法:7月中旬にNECのWEBサイトにて公開予定
今後5社は、同実証で得られた結果をもとに2023年度以降のサービス提供に向け、運用方法・サービス内容を検討するという。また、体験価値や期待感を醸成することで空港の魅力向上を図り、南紀白浜空港への訪問者増加に取り組んでいくとともに、MR技術を活用したペイント体験を南紀白浜エリアの周辺施設、観光資源に広げることで地域の観光事業の促進に貢献していくとしている。