もうロジカル思考だけでは「できる人」にはなれない
ビジネスパーソンにとって「ロジカル思考」は基礎的な素養のひとつとされています。ロジカル思考はコンサルティングファームやMBAなどが発祥のビジネススキルで、様々なツールや手法が提唱されているビジネススキルの定番中の定番です。事実や情報を収集して積み上げて演繹的(または帰納的)に結論を導くというのが基本的な思想です。多くの企業ではロジカル思考をビジネスパーソンの基礎力のひとつとしてトレーニングをして問題解決や意思決定の場面で活用しています。
ロジカル思考は手順が決められているため、誰が取り組んでも一定の水準の成果が出る一方で、誰でも“ほぼ似たような結論”に至るため、他者と比較して差別化することが困難です。思考を「コモディティ化した上で大量生産」するための手法とも言えます。
ロジカル思考を勉強しても、現場はロジカル思考で動いていない、どこでどう使ってよいかわからない、使ってみたけれども、どうも周囲から“浮いてしまう”と違和感も多く聞こえてきます。
実際に仕事の質・スピードも速く、どんな仕事も「できる人」が(みなさんの職場にもいらっしゃると思います)、常に、ロジカル思考を使って物事を積み上げて思考しているようにも見えません。どれだけ頭の回転が早くても、ロジカル思考の基礎である「事実を積み上げて結論を導く方法」ではとても時間が足りません。これまで経験がないものに対しても結論を出せることも説明がつきません。
できる人はどのような思考をしているのでしょうか。本連載ではできる人がロジカル思考をどのような場面で使い、どのような場面で使わないのか、ロジカル思考を使わない場面ではどのような頭の使い方をしているのか解説します。