今回の記事でお伝えしたいこと
- MRの実施率、期待度、満足度、寄与度のすべてにおいて低下傾向。
- なかでも、ニーズ把握、アイデア探索、コンセプト開発などの製品開発系のMRが大きく低下。
- 一方で、MR情報の将来における重要度は増加。
- MRが意思決定や課題解決の唯一の方法ではなくなっている。
- MRは、進化・発展が求められている。
MRの実施率、期待度、満足度、寄与度のすべてにおいて低下傾向
2015年5月19日、公益社団法人 日本マーケティング協会の主催セミナー『踊り場に来たマーケティング・リサーチ』に参加してきました。本セミナーは、2年に1度定期的に開催されており、MR業界関係者が注目する「マーケティング・リサーチの現状に関するアンケート」の調査結果が報告されます。
本調査の最大の特徴は、アンケートの回答者が企業のリサーチ担当者であること。MRの現状を報告する調査には公益社団法人 日本マーケティング・リサーチ協会が毎年発表する「経営業務統計実態調査」もありますが、こちらは回答者が受注側のMR会社になるためクライアントの実情は推測の域を出ません。そのため、本調査は企業のMRの利用状況やニーズを内側から知ることのできる唯一の報告となります。
・日本マーケティング・リサーチ協会 経営業務統計実態調査
https://www.jmra-net.or.jp/trend/index.html
今年は、セミナータイトルが『踊り場に来たマーケティング・リサーチ』になっていたことから、薄々、MRの成長が鈍化してきたぐらいに考えていたのですが、いざ蓋を開けてみると予想以上に厳しい内容に驚かされました。以下に、本調査結果を抜粋して考察とともに紹介します。
まずは、MRの実施状況です。リーマンショック後の低下から、前回まで上昇傾向にあったアンケートに代表される定量調査、グループ・インタビューに代表される定性調査共に、それぞれ7ポイント、11ポイントの低下となっています。
次に、MRへの期待度と満足度ですが、こちらも定量調査、定性調査ともに5~11%の低下となっています。
次に、MRの意思決定への寄与度ですが、こちらも6ポイントの低下となっており、MRが意思決定に寄与しないと考える企業がついに1/4にまで上昇しました。今回の調査では、実施率、期待度、満足度、寄与度のすべての指標において顕著な低下傾向がみられました。