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Biz/Zineインタビュー

データをビジネスに実装し、事業部門と共に変革を進める「データサイエンティストが活きる組織」のつくり方

株式会社ARISE analytics 代表取締役社長 家中 仁氏

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KDDIグループの「事業強化」と「データ活用人材育成」を担う組織として始まったARISE analytics

──ARISE analytics(アライズアナリティクス)の設立は2017年でしたよね。設立の目的は何だったのでしょうか。

家中 仁氏(以下、敬称略):元々は、デジタルやデータを活用して、モバイル事業をはじめとするKDDIグループの主力事業を強化すること、およびKDDIグループの「データ活用人材」を育成することを目的に、KDDIとアクセンチュアの合弁会社として設立されました。

 そして、KDDIグループのDXを支援する中で得られた知見やノウハウを活かし、KDDIと共にグループ外の企業のDX支援にも取り組んでいます。

──KDDIは日本でも有数の大企業ですが、そこで得られた知見を提供する先も、やはり大企業が多いのでしょうか。

家中:中小~中堅規模の企業もたくさんいらっしゃいます。たとえば、「au PAY」加盟店である中小規模の小売企業に対して、位置情報データから来店者分析を行ったり、興味関心データから顧客のターゲティングを支援したりといった、KDDIのデジタルマーケティング支援で培ったノウハウを活用した取り組みを行うこともあります。

 また、そのほかの領域としては、現在KDDIが取り組んでいるヘルスケアやモビリティ領域での新規事業・ソリューション開発支援や、物流・製造業など、さまざまな業界へ向けて画像解析や需要予測、故障予知などの技術を活用した改善支援を行うこともあります。

[画像クリックで拡大表示]

──現在では、データサイエンティストの育成にも注力されていると聞きました。

家中:そうですね。設立してから約2年目を迎えたあたりで、まずはデータサイエンティスト候補となる人材を中途で採用し始めました。その後、3年目からは新卒も採用し始めて、現在ではデータサイエンティスト、およびその候補となる人材は、正社員・出向者・派遣・業務委託者を合わせて350名以上、社内に抱えている状態です。

──350名ものデータサイエンティスト……すごいですね。DX時代の今、データサイエンティストをはじめデジタル人材は“超”がつくほどの売り手市場ですが、社内で育成できる体制を実現できれば、それほどの人材を数年で創出することも可能なのですね。

家中:もちろん、最初から育成の地盤が出来上がっていたわけではありません。ARISE analytics設立当時、KDDIからの出向メンバーは5~6名ほどいたのですが、まずは弊社を引っ張っていく彼ら彼女らに、技術的な教育、それから技術をビジネスに実装・活用していくための教育を行うことから始めました。

 昨今のトレンドでもある「DX人材」というものは、技術とビジネスを結びつけ、当事者として理解できなければなりません。事業部門が日々考えている、「この事業で、どのような顧客に、どういった価値を提供するのか」という課題や目的を、デジタルやデータを活用してどのように解決へ導いていくのか、変革の全体像を描く力が求められているのです。

──KDDIグループのデータドリブン推進は、すべてARISE analyticsが担っているのでしょうか。

家中:KDDIの本社が自ら取り組んでいるプロジェクトもあれば、デジタルにおける別の領域を担っているグループ会社もありますので、全部ではありません。ただ、データの活用支援やデータ活用人材育成は、弊社が担っている部分が多いです。

 たとえば2020年、KDDIグループはこれからのコア事業となるDX事業、および社内DXの推進に向け、DX人材を育成するためのラーニングプラットフォーム「KDDI DX University」を設立しましたが、ARISE analyticsはここでの人材育成にも協力しています。

──まさに、KDDIグループのDXを「データ」の領域から支える中心的な存在となっているのですね。KDDIグループからも、「全社を挙げてDXを成し遂げよう」という強い想いが感じられますね。

家中:DXによってKDDIグループの事業を成長させるだけでなく、「DX事業をKDDIグループのコアにしていかなければならない」という想いもあるからです。また、我々が主な使命として担っているのはグループにおけるデータドリブンの推進ですが、これにはKDDIの高橋社長(高橋 誠氏)が描く、「KDDIをデータに基づいた判断、行動ができる組織にしたい」という想いも込められています。

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この記事の著者

名須川 楓太(Biz/Zine編集部)(ナスカワ フウタ)

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