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量子コンピューティングが製造領域にもたらす可能性──慶應大田中准教授が産学連携での研究状況から解説

Biz/Zine Day 2022 SummerレポートVol.10

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量子アニーリングの応用事例

 では、実際に量子コンピューティング技術はどのような形で応用されているのか。日本総合研究所の資料「量子コンピュータの概説と動向」や各開発企業のサイトでも多くの事例を見ることができる。田中氏はそれ以外の例として、自身が産学共同で進めてきた以下の研究事例を紹介した。

  • 従業員シフト計画問題:モバイルコンピューティング推進コンソーシアム(MCPC)において実施された住友商事、ベルメゾンロジスコ、NEC、フィックスターズの共同研究を監修。ベルメゾンロジスコの従業員にはパートタイマーが多く、シフト計画の重要性が高い。属人的に決めれば現場から不満が噴出しかねない。こうしたシフト計画の策定に量子コンピューティングを用いることで、作業効率を30%向上させることに成功した。また、各従業員の作業量均等化という形でSDGsの目標8「働きがいも経済成長も」にも寄与している。
  • マルチモーダル交通最適化:デンソーとの共同研究。様々な乗り物をうまく組み合わせることで、将来的なより良い交通システムの構築を目指す取り組み。総移動量減少、さらには排ガス量削減への貢献に期待がかかる。
  • 広告配信最適化:リクルートとの共同研究。量子コンピューティングを用いた高速高精度な情報推薦で、適切な人に適切な情報を届ける取り組み。
産学共同研究で進めている量子アニーリング応用探索研究
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  • 矩形パッキング最適化:日立製作所、富士通研究所等との共同研究。できるだけ小さい区画にアイテムを詰め込む方法を検討した。半導体産業・流通産業への貢献の期待も。
  • センサー同期最適化:民間企業との共同研究。センサーの瞬時の同期は、コネクテッドカー社会、IoT社会到来に向けて避けられない課題と言われている。
産学共同研究で進めている量子アニーリング応用探索研究
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鈴木 陸夫(スズキ アツオ)

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