ローランド・ベルガーは、最新スタディ「自動車のカーボンニュートラル戦略~BEVは唯一解か?~」を発表した。
同スタディでは、カーボンニュートラル実現に向かう中で、BEV(バッテリー式電気自動車)が他のパワートレインに対して優れているのかを俯瞰した視点で分析。自動車のカーボンニュートラルを構成する要素を、地域毎の観点も含めて整理している。概要は以下のとおり。
- GHG排出量分布(現状把握):欧州は過去30年でGHG排出量の削減を果たした数少ない地域の一つであるが、欧州の中で運輸部門のみGHG排出量が増加。自動車のカーボンニュートラルを推し進める1つのモチベーションとなっている
- エネルギー供給の状況:発電がCO2フリーであることがBEV化を進める上で重要であるが、発電のエネルギーミックスは国により大きく異なり、必ずしもCO2フリー発電は進んでいない。また、電力をBEVに供給する充電インフラの整備状況も国により異なり、カーボンニュートラルを実現する手段としてのBEV受け入れ体制は、国により大きく異なる
- パワトレ別のエネルギー効率:パワトレの効率を多様な観点で比較すると、燃料製造時のエネルギー投入量に対する駆動エネルギー効率はBEVが優れている。しかし、同じ駆動エネルギーを発生させるために搭載すべき燃料の量(体積)が大きいことは液体燃料に劣っている
- OEMの対応方針:生産・販売における地域ミックスの違いに加え、モデルミックスの違いなども背景に、BEVを主に据えつつも「BEV一辺倒」に対するスタンスの違いも垣間見える
ローランド・ベルガーは、いずれにしろBEV化の流れは止まらないだろうと述べている。従来OEMは自らの事業にとっての最適解(モデルミックス、パワトレ進化、生産・販売地域ミックス、など)を見出してきたが、カーボンニュートラルの実現に向けて、CO2フリーエネルギーの安定供給や充電インフラの整備など多様なエコシステムが持続的に成立する解を見出すことが求められるなど、方程式の変数は増えているという。