インタビュー 事業創造のためのカスタマージャーニー

御社が描く「カスタマージャーニー」は、ただの「商流」ではないですか?

前編:「顧客接点の変化」から考える、顧客行動の正しい理解

[公開日]

[語り手] 加藤 希尊 長谷川 敦士 [取材・構成] 有須 晶子 [編] BizZine編集部

[タグ] 事業開発 カスタマージャーニー カスタマージャーニーマップ

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「顧客接点の変化」から考える、カスタマージャーニーの見直しと改善

加藤:
 私は、大きな変化が2つあると見ているんですね。セールスフォースの観点でお話しすると、15年前は営業支援としての顧客接点、つまり「営業接点の管理」を重視していました。お客様に関する情報は営業が一番多く持っていたからです。

 その後、商品が売れてくると、アフターサービス、アフターフォローといったサービスの接点が重要になってくるということで、「サービス接点の情報管理」へと移行してきました。

 この2つで考えると営業もサービスもワン・ツー・ワン(以下、1-1)なんですよね。そこでマーケティングに目を向けると、意外に1-1を実現できていなかった。デジタルのチャネルなどが出てきて、ようやく1-1を実現できる環境が整ってきたので、今度はマーケティング支援の番ということになってきました。大きな流れとして、マーケティングの顧客との接点が1-1へ向かわざるを得ない段階にきていると見ています。

 CJに関しては、顧客接点の変化によって、企業が描いているジャーニー(想定ジャーニー)とお客様が実際にたどるジャーニーとのギャップが激しくなっていると感じます。その背景にあるのは、スマホやIoTなどのデバイスの進化・チャネルの変化ですよね。広告を出して、興味を持ってもらって、購入してもらうというパターンが既に変わっています。

 そこで企業はジャーニーの見直しを進めています。たとえば保険会社のアフラックの場合、いろいろ調査した結果、「ORACAS」という態度変容モデルを検証しています。OはOccasion(できごと)、生活のなかでのきっかけ。RはResearch(調査)で、いったん自分で調べる。AはAdvocate(支持する)で、第三者や専門家に意見を確認する。CはConvince(納得する)で、自分で納得する。次のAがAction(行動)で、加入する。最後のSが、Share(シェア)という仮説です。

 このようなCJの見直しのほか、「接点の改善」にも取り組んでいます。接点には、期待に応える・感動体験を与える軸、逆に不安を下げる軸の2つがあると思います。

 1つめの例としては、海外の大手のチケットコンサートプロモーター「Live Nation」[2]が、位置情報が分かれば、VIPがコンサート会場に来たら自動的に駐車場が案内されるサービスを提供している。これは、サービスや接点に対する顧客の期待を超えていく例ですね。

 不安を下げるほうでは、たとえば、タクシーの場合、見つけて止めて目的地まで行って降りるというジャーニーそのものは同じでも、テクノロジーを使って、言葉が通じない不安や捕まらない不便さを取り除くといった観点で接点を改善していますよね。

 30社ほどにヒアリングをしていると、いろんなパターンが見えてきます。メーカーの場合、工場見学や街のなかでのイベントで企業を近く感じてもらう、商品のサイドストーリーを知ってもらうためのリアルな体験の場を増やす方向にあるように思います。

加藤 希尊株式会社セールスフォース・ドットコム
マーケティング本部 Marketing Cloud
マーケティングディレクター 加藤 希尊(かとう みこと)氏

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