カスタマージャーニーを“短期”から “長期”に、事業全体で活用する時代
――顧客が商品やサービスの購入に至る道筋であるカスタマージャーニー(以下、CJ)、それを可視化したカスタマージャーニーマップ(以下、CJM)は、日本では現在、マーケティングのフレームワークとして認識されているようですが、もっと大きな可能性があるのではないかと感じています。そのあたりを踏まえて、お二人は日本の企業におけるCJへの取り組みをどのように見ているか、お聞かせください。
長谷川:
今の日本では、マーケティング全体というより、マーケティングコミュニケーションの分野でCJが活用されているという状況で、そこから組織全体のマーケティングにどうつないでいくべきか、これは今後のテーマですね。
2015年6月4日、5日にUX Strat[1]というユーザーエクスペリエンス戦略のカンファレンスに参加してきました。そこで、SAPのデザイン&コ・イノベーションセンター副所長のAndreas Hauser氏が話していたのは、デザインは短期的にはカスタマーエクスペリエンスの改善、つまりマーケティングコミュニケーション的な改善をし、長期的にはデザインを通じてイノベーションがなされるということ。現在は、短期:長期の比率が7:3だけれど、それを逆転していかないといけないと言っていました。CJとデザインは似て非なるところがありますが、事業全体のなかで活用していこうという部分では共通点もあり、この視点はこれから必要になるだろうと考えています。