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イケアが実践するオムニチャネル戦略──店舗・オンライン・従業員の連携で快適な顧客体験を提供する

「Biz/Zine Day 2022 Autumn」レポート

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 スウェーデン発祥のホームファニッシングカンパニー「イケア」。その日本法人イケア・ジャパン株式会社は国内に12店舗を展開し、多くの人々に支持されてきた。2017年よりECサイトやスマートフォン用アプリを開始し、郊外店に加えて都心型店舗を開設するなど、オムニチャネル化を目指した施策を展開してきた。2022年には、店舗での購買をサポートする「IKEA Scan & Pay」をアプリに追加し、リアルとオンラインの連携をさらに強化している。その戦略のコンセプトや展望について、同社カントリーデジタルマネジャーの野崎智子氏が、事例を交えつつ解説した。

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マルチチャネル展開の成果と課題

 1943年にスウェーデン南部のエルムフルトで創業したイケア。小さな通信販売会社から、いまや63のマーケットで約466店舗を擁する、世界で最も有名なホームファニッシングカンパニーの1つへと成長した。創業当時から掲げるビジョン、「より快適な毎日を、より多くの方々へ。」は今も変わらず、商品開発やビジネスアイディア、使用する材料、物流、サステナビリティなど、企業としての行動すべてに影響を与え続けているという。

 野崎氏は「いくつかの組織で働いてきたが、会社のビジョンがここまで日常の中で語られるのは非常に珍しい。ビジョンによって従業員がつながっていることを実感している」と語る。そして、従業員の働き方を示す「ピープル理念」に基づき、多様性と働き方に対する共通の価値観を尊重した企業であることが紹介された。

 日本でもそうした“イケアらしさ”は変わらず、2006年の千葉・南船橋の第1号店オープンを皮切りに、北は仙台、南は福岡へと、2017年までは大型店舗を主軸として展開してきた。そのほか、愛知県弥富市に配送センター、南船橋にカスタマーサポートセンターを設置している。

 さらに2017年からは、「マルチチャネル」の展開を開始。同年にECサイトを開設し、2020年にはスマートフォン用の「IKEAアプリ」をリリース。さらに郊外店に加え、東京・原宿や渋谷、新宿に都心型店舗(シティショップ)を開設している。2020年といえば、コロナ禍によってリアル店舗への集客が落ち込んでいた時期だ。野崎氏は「チャレンジをともなう施策だったが、都心型店舗によって多くの方にイケアブランドを知ってもらえたのは貴重な体験と感じている」と振り返った。

国内事業展開
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 それまで展開していた大型店舗が約35,000平米であるのに対し、2020年6月にオープンしたIKEA原宿は、1,000平米ほどの小規模店舗となる。駅からすぐという立地もあり、家具を始め、フードやコンビニコンセプト、デジタル体験などを通して「イケアを知らない潜在顧客との出会いの場」となり、大型店舗やオンラインショップにアクセスするきっかけとなることが期待されている。

 また、野崎氏は当時コロナによって消費者の行動様式が大きく変化したことを指摘。家で過ごす時間が増え、「おうち時間」の重要性が高まったことで、リモートワークのためのホームオフィスやより快適な収納など、新しいニーズが高まったという。前述したように店舗にとっては試練でもあったが、同時にデジタル施策にとってはチャンスにもなった。しかし、それはまた新しい課題が顕在化することにもなる。

 2020年春に取得されたイケア顧客のデータによると、カスタマーサポートセンターへの入電数は昨年比140%の51.6万件を越え、32%が呼び出しにすぐに応えられていない。オンラインショップでのドロップオフ率はオンラインのカートで52%、配送で69%にもなり、結果として38%が買い物体験に満足していないことが明らかとなった。

消費者行動の変化により……
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 野崎氏は、「ここから接点を増やすという『マルチチャネル』の戦術から、接点をつないでより良いカスタマージャーニーや買い物体験を得てもらえる『オムニチャネル』という構想へと転換した。より多くの顧客を満足させることを願いながら、取り組みを進化させている」と語り、直近3年間の取り組みについて紹介した。

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伊藤 真美(イトウ マミ)

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