ローランド・ベルガーは2026年6月24日、日本の上場企業に所属するCxO・経営企画責任者200人を対象とした「第5回 上場企業CxO・経営企画責任者への意識調査」結果を発表した。調査の中心テーマは、生成AI時代における戦略実行の難しさである。
今回の調査によれば、経営課題の重心は従来の「戦略策定」から「実行」へと明確にシフトしている。特に好業績企業では「実行」を課題とする比率が「策定」の約1.5倍に上った。一方、業績不振企業では「策定」に課題を感じている割合が「実行」の約3倍と逆転しており、企業の成績によって抱える経営課題が大きく異なる実態が示された。

戦略策定においては、生成AIの普及によって市場分析やシナリオ設計などの作業が効率化し、戦略の質が底上げされた半面、差別化が困難になっている。こうした状況下で、最終的な競争優位の源泉は「実行能力」に移行しつつあり、策定よりも実現の課題を認識する経営者が増加している。

また、生成AIの導入後も戦略の着手率・完遂率に大きな変化は見られなかった。着手率はAI普及前後で約53%、完遂率も約50%で推移しており、戦略の半数が実行されず、さらに半数が完遂されない現状が続いている。AIは計画立案や実務作業の効率化には寄与しているが、「着手」の意思決定や組織内合意形成といった構造的課題の解消には至っていない。
さらに、戦略の有効期間も短縮傾向にある。調査によると、戦略の有効期間はAI普及前後で約11.3か月から10.6か月と減少し、全体の約7割の経営者が「戦略の賞味期限は1年以内」と認識している。戦略の陳腐化が加速している中、「策定と実行を分断するアプローチ」では環境変化に追随できなくなりつつある。本調査は、戦略を描きながら同時に進め、機動的に修正する「一体型アプローチ」への変革が求められていることを示唆している。

ローランド・ベルガーの企業変革支援チーム責任者の田村誠一は、「戦略を描くコストは大きく下がったが、企業価値を生むのは依然として戦略を実行・完遂する力だ」と指摘。プリンシパルの神谷洋次郎も「AI普及後も着手率は改善していないが、完遂率には一定の改善がある」と述べ、今後の競争優位は意思決定・実行・学習能力にあるとまとめている。
本調査は、2026年5月にインターネット調査で実施された。
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