「数字だけ取り立てていくな」——子会社の反発が教えてくれること
本連載では、これまで1社単体で運営している企業の経営管理をテーマに扱ってきました。今回はそこから一歩進み、複数の企業で構成される“グループ”の経営管理を取り上げます。
……と、教科書的に始めるのは簡単ですが、実はグループ管理は経営企画にとって最も胃が痛くなるテーマの一つです。単体会社とは異なる特有の会計処理(連結決算など)を行うため、管理会計側もこの仕組みを正しく理解していなければなりません。
グループの管理に直接携わっていない読者は、「グループの会計処理といっても、各社の業績をシンプルに合算するだけでしょ?」と思うかもしれません。しかし実際には、単純な足し算で済む話ではありません。なぜなら、そこには「別々の会社で働く人間同士の利害関係や感情」が渦巻いているからです。
こういったものを無視して数字の正論だけを突きつけた結果、子会社の役員から「本社の人間に現場の何がわかる! 数字だけ取り立てていくな!」と大猛反発を食らい、会議室を凍りつかせた、というようなエピソードを幾度か聞いたことがあります。
すでにグループ経営企画として働いている読者の中にも、複雑な会計処理や子会社とのコミュニケーションに辟易し、「そもそもなぜここまで面倒なことをしなければならないのか?」と感じたことがある方は多いはずです。まずは、その「面倒」の裏にある基本構造から整理していきましょう。
親子の関係で覚える「子会社」と「関連会社」の違い
そもそも、企業グループとは何でしょうか。様々な定義がありますが、本記事では「親会社の支配、または重要な影響下にある企業群」とします。そしてグループを構成する企業は、親会社の関与度合い(株式の保有比率など)によって、主に「子会社」や「関連会社」に分けられます。
これは人間関係にたとえるなら、「同じ家族として生活をともにしている子ども(子会社)」と、「別世帯だが、進路や大きな決断については互いに相談する親族(関連会社)」の違いに近いでしょう。
| 分類 | 関係性の目安 | グループ全体への業績反映方法 |
|---|---|---|
| 子会社→(同居の子) | 親会社が実質的に支配している→(目安:議決権の50%以上を保有) | 連結決算→(グループ全体を一体として丸ごと取り込む) |
| 関連会社→(独立した親戚) | 親会社が重要な影響力を持つが支配はしていない→(目安:議決権の20%以上を保有) | 持分法→(保有比率に応じて利益の一部だけを反映) |
親会社と子会社は、実質的に一つの組織として事業を運営しているため、それぞれを別会社として見るのではなく、グループ全体を一体として業績を把握する必要があります。そのため、上場企業を中心に、多くの企業グループでは連結決算が作成されます。
一方、関連会社には「持分法」が適用されます。持分法とは、ざっくり言えば「関連会社が稼いだ利益のうち、自社の持ち分(20%など)だけを、グループの連結業績に1行でポロッと反映する会計処理」です。子会社のように親会社が支配しているわけではないため、連結ほど広範で複雑な処理は行いません。
以降、経営企画の実務で最も揉めやすく、かつ重要な「連結決算」の仕組みについて具体的に見ていきます。
