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バックオフィスは「SaaS Is Dead」にならない合理的な理由。ラクスが語る「協働型AI」とは

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 生成AIの劇的な進化を背景に、世界中で巻き起こった「SaaS Is Dead」論。従来のSaaSが提供してきたユーザーインターフェース(UI)や機能がコモディティ化し、企業の内製化や自律型AIエージェントへの代替が進むことで、既存のID課金型ビジネスモデルが崩壊するというセンセーショナルな予測である。この議論に対し、日本のバックオフィスDXを牽引するラクスは「SaaSは死なない(SaaS Is Not Dead)」と強く反論する。同社が導き出した答えは、AIによる既存業務の完全代替ではなく、人間・ルールベース・AIがそれぞれの強みを活かして共存する「協働型AI」という、極めて現実的かつ実践的なアーキテクチャであった。2026年6月15日、ラクスが開催したAI戦略などに関する記者発表会の内容をレポートする。

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なぜ基幹業務は「AIによる業務再設計」に踏み切れないのか

 「SaaS Is Dead」論の多くは、AIの技術的進化のスピードのみを根拠に「業務全体が丸ごと自動化される」と大雑把に捉えがちである。

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 しかし、実際のバックオフィス、たとえば経費精算業務一つをとっても、社内に数百〜数千人存在する「申請者」、その上長などの「承認者」、そして最終処理を行う「経理担当者」という複数の登場人物が絡み合い、極めて複雑なプロセスが構築されている。

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 ラクスが財務・会計・経理担当者(n=755)を対象に実施した調査(2026年3月)によると、「今後3年程度を見据えた経理業務のシステム構築」において、「AIによる業務フローの再設計まで踏み切る」と答えた企業はわずか13.00%にとどまった。実に8割近い企業が、既存の業務フローを変更せずに自動化を進めたいと考えているのが実態である。

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 「バックオフィス業務は会社の1ヵ月のお金の流れを取りまとめる月次決算に直結しており、納税や経営判断のための『正確性』が絶対条件となる。既存のフローを理由に変えてしまい、業務がストップしたときのダメージは計り知れない。既存の業務フローを大事にしたいという現場の思いには、極めて強い合理性がある」と、同社取締役 兼 CAIOの本松慎一郎氏は分析する。

ラクスが提唱する「協働型AI」の構造

 こうした現場の「既存の業務フローを変えたくない」という強固なニーズに対し、ラクスはこれまで培ってきた「ルールベース(あらかじめ設定したルールどおりに処理する決定論的な仕組み)」のSaaSを土台に、確率論的に機能する「AI」、そして最終的な意思決定を行う「人間」を最適に配置する「協働型AI」を提唱する。

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「AIはどれだけ進化しても確率論で動くため、いつか必ず間違える。また、AIは法的な責任を取ってはくれない。だからこそ、人間が結果を確認・修正し、お墨付きを与える『承認UI』は絶対に存続する。一方で、完璧なルール化が難しい曖昧な推論領域はAIが得意とする。これらを組み合わせることで、既存の業務フローを壊さずに、人間の手間だけを劇的に減らすことができる」(本松氏)

 この思想に基づき、同社は2030年までに、人間が行う業務を「指示・確認・承認」のみに絞り込み、それ以外の実務プロセスをシステムが肩代わりする「完全自動化」の世界を目指していくという。

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申請者を五重苦から解放する「伝票作成AIエージェント」の実力

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この記事の著者

栗原 茂(Biz/Zine編集部)(クリハラ シゲル)

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