株主だけではなく従業員や求職者に向けて行う“課題の開示”
市川:田中さんが分析されていたなかで印象的だったのが、スバルです。同社は過去の不祥事もあって、2018年頃から組織風土改革に力を入れています。統合報告書では、組織風土に関する従業員意識調査の結果を開示していますが、4年間で明らかに変化が見られますね。
自動車産業では新車の開発から発売までのリードタイムがとても長いためか、22年3月期までの数年は改革の効果は現れず、売上高が下がっていました。ところがここに来て、今年は増収増益で大きく回復しています。これには開示の効果もあるんじゃないでしょうか。組織風土改革に関する従業員意識調査の結果というのは、外に開示するだけでなく従業員にも見せているはずです。それが従業員の安心感になって良い仕事につながっていくようなことがあるのではないかと。都合良く解釈しているかもしれませんが、開示と業績がつながったと感じた事例でした。