DXはIT投資の延長ではない。3つの重要な問い
DXを従来のIT投資の延長として捉えている企業が陥る最初の間違いは、IT課題の棚卸しからDXに対する準備作業を始めてしまうことです。
例えば、ニーズや価値観の変化など、現在対象としている市場が大きく変化しているのに、受発注業務の効率化などにDXの焦点を当ててしまうようなケースです。DXに本格的に取り組む前にやっておくべき重要な準備作業は、包括的かつ幅広い観点から、次の3つの重要な問いへの回答を準備することです。
1つ目の準備作業とは、「現行ビジネスモデルのアセスメント」です。言い換えれば、「As-Is(現状)」を冷静に見つめ直すことから始まります。これは、Why、つまり自社はなぜDXに取り組まなければならないのかという問いへの回答でもあります。当然のことですが、DXへの取り組みは法律で定められたものではありません。なので、各企業が独自にDXに取り組まなくてはいけない大義名分、つまり行動の拠り所となる正当な理由を社内外の利害関係者に対して明白に伝達するが必要です。そして、DXに取り組まなかった際のリスクに対する危機意識を植え付けていかなければなりません。
2つ目の準備作業とは、デジタル時代の本格的な到来において、経営層との対話を通じて、自社は何を目指すか、どのような会社になりたいのかを示すことです。さらに、それを簡潔かつ利害関係者を鼓舞する「デジタルビジョン」に集客し、実現のための「大きな戦略テーマを設定すること」が重要となります。
3つ目の準備作業とは、自社はビジネスモデルをどのように変えるべきかという問いへの回答でです。それを言い換えれば「将来のビジネスモデルの青写真を何枚か描写してみること」と表現できます。