クニエは、総務省より「コロンビア共和国におけるICTを活用したスマートシティの実現に向けた調査実証」を受託し、2023年2月6日(現地時間)よりコロンビアのカルタヘナ市にて実証実験を開始した。
同調査実証は、総務省が進める「日本が強みを有する質の高いICTの海外展開をサポートし、対象国における総合的な課題解決に貢献することを目指す取り組み」の一環で、コロンビアの情報技術通信省(MinTIC)の支援の下、カルタヘナ市の協力を得て実施するという。
同国のスマートシティ化に向けて、スマートフォンアプリなどを用いた「市民参加型の都市課題解決」と、センサーを用いた「文化遺産保護」の2つについて、ICT技術を用いる効果を検証するとしている。
クニエは、受託事業者として、同調査実証における企画をはじめ、ソリューションの選定、コロンビア各団体との調整など、プロジェクト全体マネジメントを行うという。
市民参加型の都市課題解決
自治体が都市課題を解決してくれるのを待つのではなく、市民が課題の所在を自治体にレポートすることで、迅速な解決を可能とするスマートフォンアプリなどを活用したソリューションの効果実証を実施。
限られた人員で自治体が都市全体をモニタリングすることには限界があり、道路や建物などの破損状況を把握し、対応するには多くの時間を要する。そこで、市民が問題を発見し、レポートする仕組みを整えることで、解決の効率性と迅速性、そして市民と行政の協働を高めることを目指すという。日本では同様の仕組みがすでに複数の自治体で導入されており、同実証では、これらの日本の経験をもとに、コロンビア向けのアプリケーションを構築。実証期間中、カルタヘナ市民が参加し、各自のスマートフォンなどの端末から写真と位置情報をアプリケーション上にレポートできる仕組みを整えるとしている。
- 実施場所:コロンビア共和国 カルタヘナ市全域
- 参加者:カルタヘナ市役所職員およびその関係者
- 実施期間:2023年2月6日~3月8日(予定)
文化遺産保護ソリューション
文化遺産の保護を目的とし、建造物における劣化や損傷の回避、および観光資源としての有効活用を支えるため、温度や湿度、訪問観光客数などの監視項目をセンサーで測定するソリューションを導入し実証を実施。
同ソリューションは、侵入や損傷などの非常時には登録したメール・SMSへ自動でアラートを送信でき、24時間リアルタイムの管理が可能になるという。また、分析結果をダッシュボードにグラフ化して表示することで、遺産の状態情報を視覚的に確認できるようになる。これにより、文化遺産保護に必要な維持管理コストの軽減やリスクの回避に寄与するとしている。
- 実施場所:コロンビア共和国 アドルフォ・メヒア劇場
- 実施期間:2023年2月6日~3月8日(予定)
カルタヘナ市は、コロンビア北部、カリブ海に面した港町。「カルタヘナの港、要塞、歴史的建造物群」が1984年に世界遺産(文化遺産)に登録されるなど、観光資源が豊富な南米の観光都市で、人口は約100万人。
人口と観光客がともに多い一方、倒壊などのリスクが高い建造物の放置、無許可の建築工事、街頭の無灯火、上下水道や廃棄物処理などの問題が生じたまま放置されるなどといった都市課題がある。
また、主要産業である観光業を支える文化遺産の保護は、同市において最優先課題とされており、カルタヘナ市政府によって文化遺産の管理・保護が行われているものの、効率化・高度化の余地が残されている状況だという。
同実証は、スマートシティの実現に向けた第一歩の位置づけであり、カルタヘナ市はこの実証を足掛かりに、中堅・中小都市におけるスマートシティのモデルケースとなることを目指すとしている。
クニエは今後、スマートシティの実現を通じて、中南米をはじめとする海外諸国の都市課題の解決に貢献。また、諸外国での良い都市実現に向けて、NTTデータグループの技術・知見を活用した事業展開を行っていくと述べている。