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事業創造と価値創出のための「アート思考」

“自分起点”のイノベーション創出──理想の未来を描き形にしていく「アート思考」とは

第1回

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 ビジネスの文脈でも目にする機会が増えた「アート思考」。言葉こそ広まっていますが、絵を描く/観ることしてアート思考を捉えている方も多いのではないでしょうか。「アート」と「アート思考」は混在されがちですが、明確に異なるものです。アート思考を正しく理解し身につけることで、思考力だけではなく行動力も変えることができます。本連載では、世界で唯一のアート思考を使ったコンサルティング会社の代表である株式会社Bulldozerの代表取締役運転手 尾和恵美加が、アート思考が秘める可能性を紹介していきます。

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アート思考とは

 アート思考は、絵を描く方法や絵画鑑賞の仕方を学ぶことで感性や直感を鍛え、それをビジネスに活かすものだと考えられていますが、実はそうではありません。アート思考(アートシンキング)とは、自らが提案したい未来や、現代への問いを投げかける思考方法であり、現在とは脈絡がなさそうにも見える「自分の欲しい飛躍した未来」を描き、形にしていくための思考方法です。

 アート思考に関する誤解を解き、可能性を感じていただくために、日本で生まれたイノベーションの具体例からアート思考を紹介していきます。

 日本には多くのエクセレントカンパニーが存在します。日本の国力がない時代に事業を立ち上げた起業家、歴史的困難を乗り越えてきた経営者の多くは、揺るぎないビジョンを掲げて会社を興したり主軸となる事業を立ち上げたりして、世の中にまだない価値を生み出してきました。その中から、日清食品の創業者である安藤百福を例に説明しましょう。

 安藤は、戦後の復興を経て経済成長に向かって邁進していた時代に、素人でも手軽に作って食べられる「チキンラーメン」を開発しました。当時、ラーメンは屋台で食べるものというのが常識で、「即席めん」の概念自体存在していませんでした。安藤はこうした常識を破り、ラーメンを「屋台で食べるもの」から「家庭でも食べられるもの」へと進化させたのです。

 その後、欧米視察でチキンラーメンを割って紙コップで食べている様子を見て、どんぶりも箸もない国でも食べられるよう「カップヌードル」を開発します。今ではカップヌードルは地球上どこでも食べられる即席めんとなり、そして宇宙食にもなるほどに親しまれています。

 チキンラーメンもカップヌードルも、安藤の「このような未来にしたい」というアート思考から生まれています。アート思考は、まだない概念や価値を具現化して未来を提案し、時代を大きく進める「創業者思考」ともいえるのです。

 もし安藤百福が既存の概念から開発を進めていたら、チキンラーメンもカップヌードルも生まれていなかったかもしれません。彼は、提供すべき価値の本質を見抜き、既存の概念に囚われない提案をしたからこそ、チキンラーメンやカップヌードルのような世界を変える大発明が実現できたのです。

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この記事の著者

尾和 恵美加(オワ エミカ)

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