量子分野のバリューチェーンと世界の投資動向
続いてShaw氏は、量子コンピュータによる現行の暗号解読の脅威について述べています。現在使われているRSA暗号は素因数分解という計算によって解読できることが知られています。しかしこの計算は複雑なため、従来のコンピュータでは解読に途方もない時間がかかります。この「計算量的安全性」によって、現在の暗号化技術の実用性は担保されています。一方量子コンピュータは、将来性能が向上してくるとこのRSA暗号を数時間で解いてしまう可能性があると考えられています。暗号が解読されるようになると、私たちの日々やりとりしている情報だけでなく、国家機密すらも丸見えになってしまう可能性があります。そうなると関心事は、“いつ”解読されるようになるのか、そして“いつから”対策が必要となるのかという点です。
Shaw氏の調査によれば、解読されてしまうタイミングは2035年以降であろうとのことです。ただし、ワーストケースでは2027年には解読されるという意見もあるようです。なので、このようなセキュリティ関連については、早く対策するに越したことはありません。