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企業の持続的成長を支える“体験管理”

なぜ全社的に体験管理を進めるべきなのか──「顧客体験」「従業員体験」の向上と組織文化の醸成

第1回

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今“体験”が重要視されている理由

 従業員や顧客など、企業にとって重要なステークホルダーの“声”に耳を傾け、その内容から得られた知識や情報、洞察などを活かし、提供するエクスペリエンス(体験)をデザイン・改善する。

 一見すると当たり前のような「顧客・従業員視点のビジネス変革」ですが、実際に“声”をもとにオペレーションの改善、製品の改良、体験管理を推進する、人材育成のための管理体制を向上させるなど、ビジネスの変革の重要な一部として運営にまで落とし込んでいる企業は、いまだに限られています。実際、フォレスター社の調査によると、イノベーティブな体験を提供するために顧客の声を活用している企業は、グローバル全体でも45%と半分以下です。

 言い換えると、“声”を継続的に聴くための仕組みを構築し、“声”に耳を傾けることを組織文化として醸成するまでに深化させている企業はごく一部であるということでもあります。

 近年、CX(カスタマー・エクスペリエンス、顧客体験)・EX(従業員エクスペリエンス、従業員体験)への注目度が急速に高まっています。

 クアルトリクスでは、従来のアンケートフォームの枠を超え、2012年よりビジネスにおける利活用を推進するためCXとEXという2つの“体験”を管理するソフトウエアの開発に着手するなど、この体験管理という市場に注目し、研究を進めてきました。

 2012時点ではまだモノからコト消費へシフトしているものの、企業側はモノを改善することでコト(体験)を良くする方法が主流だったことから、製品を通じて利用者が得られる体験=製品・サービスの「ユーザーエクスペリエンス」の改善を行うための取り組みが活発化しました。これは、製品・サービスの内容が期待値を上回ったどうか、開発者が考える製品機能の良さが実感できているのか、改善・改良する点はないかなどの点について質問することが中心でした。

 しかしデジタル化が進むとともに、Webページ上からの問い合わせやチャットボットなど、顧客接点に「人間」以外が関与するようになってきました。それにともない、ユーザーへのアンケート調査においても、「Webページでの登録はスムーズだったか」「オンライン配信されているコンテンツが期待に沿ったものだったのか」と利用者に尋ねるなど、デジタルエクスペリエンスの向上につながる動きも見られるようになってきました。

一般的な顧客ジャーニー例

 それでは、2023年現在はどのような状況になっているのでしょうか。

 顧客はオムニチャネルで企業との接点を持つようになっています。具体的には、「インターネット検索やアプリを通じてブランドの接点をスタートさせる→その後店舗に行って製品やサービスに触れる→エンゲージメントの高い従業員が、自社の製品やサービスの特徴について説明する→購入を決意する」という流れです。契約後も、「商品の使い方や問題が生じた場合にコールセンターに問い合わせ、カスタマーサービス担当者からサポートを受ける」→「一連の体験からポジティブな印象を受け、満足する」→「そのブランドに愛着を持ち、ファンになる」という流れで、多数のチャネルを縦断してCXが続きます。

 この一連の“体験”を強めていくことが重要であると認識している企業は、個々の部門が顧客と断片的な接点を持つのではなく、多様な体験を全方向的に向上させることで、CX全体を底上げしています。

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この記事の著者

久崎 智子(キュウザキ トモコ)

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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