IPランドスケープをたたき台に行った全社的な統合議論
続いて、買収成功後の「情報共有」フェーズ。ここでも、知財活動が大いに役に立った。増嶌氏にとって意外だったのは、事業部の先駆けで行われた昭和電工と日立化成の統合において、知財部門同士の統合が思っていたよりも大変だったことだという。
M&Aの際にはどんな企業・部門でも起こることではあるが、文化も歴史も異なる部門が一つにまとまるのは簡単ではない。幸い、昭和電工と日立化成の知財部門は組織体制が似通っていたため、両社からそれぞれ代表者を数名選出してワーキンググループを結成し、毎週情報を交換して整理していった。このとき、同時にIPランドスケープの有効性も検証した。M&Aの際に昭和電工で行った、日立化成を分析したIPランドスケープと、日立化成側で作成した昭和電工のIPランドスケープを出し合い、答え合わせを行ったのである。