大企業とスタートアップの両方を経験して知る、二者択一の危険性
小野:はい。いわゆる大企業的な考え方を、僕はセゾン情報時代に学びました。最初はシリコンバレー的、スタートアップ的なやり方が正しいものとして持ち込んでみたけれど、逆にこれまでの日本企業のやり方が正しい部分もあると気づいたんですよ。
スタートアップ的な考えでいけば「お客さんにとってこの方が絶対いい。すぐやるべきだ」ということでも、「◯◯委員会を通してから稟議をあげ、決裁をとらなきゃいけない」とか、遅々として進まないことは正直少なからずありました。でも、セゾン情報が「HULFT」という圧倒的な安定性を誇る製品を生み出し、その後も高い品質を維持し続けることができていたのは、そういうやり方をしていたから、という部分が少なからずあったんです。結果として、特に製造業や金融の分野のお客さまから絶対的な信頼を得ていた。それに気づいて、大企業的なやり方もリスペクトできるようになりました。