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不確実性とエンジニア組織のマネジメント

クレディセゾンCTOと語る、エンジニア組織との向き合い方──DXでミスリードを避け、出島にしない理由

【前編】ゲスト:株式会社クレディセゾン 取締役 専務執行役員 CDO 兼 CTO 小野和俊氏

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 2023年6月に『人が増えても速くならない ~変化を抱擁せよ~』(技術評論社)を出版した倉貫義人氏は、自身が創業した株式会社ソニックガーデンを経営しながら、「北欧、暮らしの道具店」を運営する株式会社クラシコムの社外取締役も務める。その経験から、ソフトウェア開発とエンジニアチームのマネジメントについて事業会社の経営者やマネージャーが知っておくべきことを解説したのが本書である。今回は、スタートアップ経営を経てセゾン情報システムズのCTOを務め、現在はクレディセゾンCTOとして同社のDXを牽引する小野和俊氏をゲストに招き、大企業の文化を理解しつつDXができる組織へと変革していく方法について議論した。 

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スタートアップ経営と老舗のシステム会社を経てクレディセゾンのDXに取り組む

──小野さんはどのような経緯でクレディセゾンのCTOとなられたのですか。

小野和俊氏(以下、小野):僕が経営していたスタートアップがエグジットした先が、クレディセゾン傘下のセゾン情報システムズ(以下、セゾン情報)だったんです。今でいうアクハイアリング(Acqui-hiring)に近い形でセゾン情報システムズに入り、そこでも6年ほどCTOをやりました。1970年創業で割と古いところが残っている会社でしたが、新たなデジタル領域にも力を入れ、スマートスピーカーを活用した開発のコンペティションで優勝するなどの成果が出るようになりました。

 それを見ていたクレディセゾンから、声がかかったんです。クレディセゾンには、金融の世界で生き残っていくにはフィンテックの競合などもあり、ITに強い会社にならなければ勝てないという危機感があったんですね。セゾン情報での変革の経験を活かしてほしいと言われ、グループ内での異動のような形になりました。

 僕自身は、かつてジャパン・アズ・ナンバーワンと言われ、時価総額で世界50位以内の半数以上を占めるほどだった日本の大企業がすっかり存在感を失っていることを、とても残念に思っていたんですよね。以前に少しアメリカに滞在して再認識しましたが、日本は食べ物も美味しいし安全だし、本当に暮らしやすくて素晴らしい文化のある国です。そんな日本を形作ってきた企業が、時代の変化に対応できずにどんどん弱体化していくのは本当にもったいないと。

 そこで、もし、「ほら、クレディの例があるじゃん」と言われるような変化を起こせれば、古くて大きな金融機関でも変われるという希望になるんじゃないか、そんなことを考えていました。

──それが2019年ですか。大きな金融機関のデジタル化は、やはり大変だったのではないでしょうか。

小野:先日聞いた話では、日本の大企業でCDO(チーフ・デジタル・オフィサー)を始めとしたデジタル変革を担う経営幹部の在任期間は平均2.5年で、3年も経たずに辞めてしまっているそうです。僕はといえば、もう4年と2ヶ月くらい経っていて全然違和感なくやっています。

 恐らく多くの大企業は、過去の成功経験に囚われるあまり、今の時代の感覚とはあまりにもずれているのではないかと思います。デジタル化を推進しようとすると、それが許せずに全否定してしまったりして、辞任に追い込まれるようなことが起きているのでしょう。変革に必要なのは、そのズレの背後にある、相手の側の合理性に寄り添ってコミュニケーションすることだと思うんですけどね。

──相手の側の合理性に寄り添ったコミュニケーションですか?

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やつづかえり(ヤツヅカエリ)

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