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デザイン思考の「3つのレンズ」が失敗を防ぐ

第2回

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プラットフォーム戦略の元祖が「ミシン」?

2)ビジネスモデル:製品提供を促進させる・・・ミシン

 技術と同様に重要なのが「ビジネスモデル」だ。イノベーションの3段階で紹介したように、アイデアを形にした後は、製品をユーザーへ届ける必要がある。優れたビジネスモデルは、スムーズな製品提供を可能にする。優れたビジネスモデルの例として、ミシンを紹介したい。

写真.シンガーミシン 写真.シンガーミシン                                                 
(photo By Vincent de Groot)
 ミシンは何度も“発明”されたが、日用品として普及するには長い年月が必要だった。世界初のミシンは、イギリスのワイゼンセールが1755年に特許を取得し誕生した。しかし、家庭への本格的な普及はそれから95年後の1850年に始まる。それはアメリカのアイザック・メリット・シンガーによって行われた。1851年には会社を設立。彼はミシンの技術的な改善のみならず、いかにも機械的な箱形だったミシンの外見を、曲線的なものへとデザインし直すこともした。
 シンガーの取り組みのなかでも特筆すべきは、1856年に開始したレンタル式と分割払いを取り入れたミシン販売だった。これにより、ユーザーのミシン利用や購入が容易になった。分割払いを導入した7年後には、年間2万台のミシンがフランスやドイツなど世界各国で販売された。
 アイザック・シンガーは1875年に亡くなったが、彼が設立した会社は事業を続け、1901年(明治34年)には東京の麹町にシンガーミシン裁縫女学院が設立された。女学生にミシンの使い方を教え、ミシン普及の鍵となる洋服・洋裁を身近なものへ  変えようとした。
 21世紀で表現されるところのプラットフォーム戦略を、今から100年以上前に実践したと言える。

 アイザック・シンガーがいなければ、ミシンは今ほど利用されていなかったかもしれない。彼の成功の鍵は、ビジネスモデルにあった。

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「声」を聴きたい、聴かせたい-社会のためを実現する“キモチ”

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この記事の著者

柏野 尊徳(カシノ タカノリ)

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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