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デザイン思考の「3つのレンズ」が失敗を防ぐ

第2回

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3つのレンズ:道具としてのデザイン思考

 先人の3つの事例はどうであっただろうか。3つのレンズを具体的に紹介するために、実現可能性(feasibility)の例として技術、持続可能性(viability)の例としてビジネスモデル、有用性(desirability)の例としてニーズを扱った。もちろん、技術やビジネスモデル以外にもレンズの指標は存在する。

デザイン思考3つのレンズ 図表2.デザイン思考3つのレンズ
(IDEO.org, HCD toolkitより)
 「実現可能性」は、アイデアを実際に形にするためのリソースが十分かどうかを示す。たとえば、事業を推進するために必要な資金や、能力のある人材が揃っているかどうかも判断指標となる。
 「持続可能性」は、製品やサービスを継続して提供できるかどうかを示す。利益の確保はもちろん、自然環境に対する負荷の度合いや社会的評価といった、長期的な意味での持続性も重要だ。
 「有用性」は、人々に提供できる価値がどの程度なのかを示す。対象が特定のユーザーになる場合もあれば、社会や人類といった広範囲に渡る場合もある。

 デザイン思考では、ニーズや需要に代表される「有用性」を基点にイノベーションへ取り組む。デザイン思考が“人間中心”と言われたり、最初のフェーズで「観察」や「共感」を行う理由もここにある。

 ユーザーや社会が何を求めているかわからないまま技術やビジネスモデルに注力すると、セグウェイのように成功を見誤ってしまう。

 本格的な技術開発やビジネスモデル構築の前に、「このアイデアはユーザーの役に立つか?」、「市場で受け入れられるか?」と問いかけるべきだ。3つのレンズを意識し、有用性を基点としよう。ユーザーや社会にどんな価値を提供できるか最初に確認することで、イノベーションの失敗を防ぐことができる。

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この記事の著者

柏野 尊徳(カシノ タカノリ)

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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