英語版サービスのリリースが勝機
自社製品をサービスとしてはじめたのは2007年から。プロジェクト管理ツールの「Backlog」というサービスです。
「プロジェクト管理ツール」って昔からいろいろありますが、どれも暗いんですよね(笑)。もう少し明るくて楽しく使えるようなものがほしいと思ったんですよね。仕事って、キツイですし、大変ですし、せめてシステム使ってる時くらいは明るいインターフェースがいいなっていう気持ちからです。
リリースした頃は、プロジェクト管理という企業の重要な情報を、ヌーラボなんて無名の会社のサービスにまかせてよいのかとか、貴重なデータを社外に預けるのはどうか、みたいな批判はありました。2007年ってまだクラウドなんて怪しまれてましたしね。そうはいっても多くの人は賛同してくれたんだと思います。賛同してくれてなかったら、今、こうなっていないので。
その後、「Cacoo」っていうブラウザで図を描くというツールを作って、リリースしました。その時に海外にトライと思って海外向けにリリースを出しました。 最初から英語でもリリースしたのが大きかった。もともとデザインや画像を扱うものなので、そんなに言葉がいらないのと、あまり説明が必要だとかえって使いづらい。なので英語にするためのコストは、思ったほどかからなかったと思います。
初の海外イベントへの参加はピッチ系ではなく出展系へ
それでCacooをリリースする時に、海外に行きたいと思ったんですね。憧れがあった。それまで海外経験がなくて、パスポートも持っていなかったのにね(笑)。そこで友人の紹介で、ワードプレスの「ワードキャンプニューヨーク2009」っていうイベントに行くことにしたんです。しかも参加者ではなくスポンサーとして。そうしてスポンサーブースも持つことができまして、そこでCacooのベータ版を来場者の方たちに触ってもらったりとかしてもらいました。
そのイベントに出展することで直接売上につながるとかは無かったんですけど、いかんせん初めての海外で、自分たちの作ったサービスが初めて目の前で海外の人に触ってもらう機会を得たので、海外でもやれるんじゃないかっていう気持ちが高まった。この時の経験が、後から海外へのチャレンジにつながったと思います。
よく、スタートアップだと、シリコンバレーとか西海岸の投資家向けのプレゼンテーションのイベントとかに出かけたりしますけど、僕の場合、ニューヨークのイベントでの出展が海外デビュー。出展って、お金さえ出せば可能ですしね。
僕らみたいな会社って、ピッチイベントってあんまり向いていなくって、最初から展示イベントに出たというのは良かったのかなと思います。起業した当初から、お客さんのために作って、直接かかわり合いたいというマインドを持っているので、出展してブースを出して、動くソフトウエアをそこにどんと置いて、実際に触ってもらって、フィードバックを貰うっていうのがすごく良かったんです。取締役3人と通訳とで4人で行きました。