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組織戦略としてのデザイン

SMBCでのビジネスとデザインを接続する“翻訳者”の存在──デザイン導入と浸透の課題を克服するには?

【前編】ゲスト:株式会社三井住友銀行 中村裕信氏、金澤洋氏

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「顧客接点の再定義」を目的に業界においていち早くインハウスデザイナーの採用を実施

岩嵜博論氏(以下、敬称略):2022年11月に出版された『銀行とデザイン』(インプレス)を拝読しました。同書にはSMBCが組織にデザインを取り入れ、サービスや企業文化を変えていく軌跡が克明に描かれていて、多くの日本の伝統的な組織を勇気づける内容だと感じました。本日は銀行におけるデザインの意義や役割を深掘りしたいのですが、まずはSMBC Design Teamの組織概要をお聞かせいただけますか。

中村裕信氏(以下、敬称略):SMBC Design Teamは、私が部長を務めるリテールIT戦略部のなかに設けられています。リテールIT戦略部は、その名の通りリテールビジネスにおけるIT戦略やデジタルサービスの開発を担う部門です。当行におけるデザインの導入は、IT戦略部が起点となってスタートしました。

 SMBCが最初にデザイナーを採用したのは2016年です。当時はスマートフォンの普及が急速に伸びていて、銀行とお客様の接点が大きく変化している時期でした。従来の銀行では、店舗で9時から15時の間という限られた時空間でお客様と接するのが本業であり、インターネットバンキングなどのデジタルチャネルはあくまで代替手段という位置付け。しかし、スマートフォンが人々の生活に深く根ざしていくなかで、そのあり方を見直すべき時期が訪れていました。そこで、従来の視点に捉われず、顧客起点でお客様との接点を再定義することを目指し、デザイナーの採用を決定。当行初のデザイナーとして、今日同席している金澤を採用し、現在、SMBC Design Teamは11名の組織に拡大しています。

金澤洋氏(以下、敬称略):SMBC Design Teamは二つのチームに分かれています。一方が、銀行に加えグループ会社の具体的なプロダクトのUIUXをデザイン開発するチーム。もう一方が私がチーフを務めるチームで、より中長期的観点に重きを置いたデザインシステムやカスタマージャーニーの策定などSMBCの事業価値を高めるための活動や新事業の構想を担っています。

岩嵜:デザイナーを採用する以前、SMBCではどのようにデザインの活動を行っていたのでしょう。

中村:基本的には、外部のデザイン会社などに委託していました。しかし、それでは一貫したデザインでサービスを提供できず、プロダクトごとやプロジェクトごとに顧客体験が寸断されてしまいます。そうした状況を脱却し、シームレスな顧客体験を提供するためにも、インハウスのデザイン組織が必要でした。

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「組織内からの信頼」と「対外的な評価」が広義のデザインを浸透させた

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この記事の著者

島袋 龍太(シマブクロ リュウタ)

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