エクサウィザーズは、日本経済団体連合会の後援を受けて2023年8月22日に実施したセミナーにおいて、生成AIの利用実態アンケートを実施した。
アンケート概要
今回のアンケートは、同社が実施した「生成系AIの進展とビジネス活用の要点 ―経営者にとって必要な情報を1時間で整理―」のセミナーに参加した368社、518名を対象に実施。
業種別では製造業が最も多く、IT/Webサービスが続く。部門別ではDX部門が最も多く、それに次ぐITや経営企画以外にも、営業や管理などといった部門が興味を持ち、活用に向けて検討をしていることがうかがえるという。また、部課長クラスが49%、経営層が18%強と、マネジメント層が生成AIに対して高い興味を示していることがわかる。
活用状況を5段階に分類 ~業務で日常利用は7%から20%に、「時々使用」が大勢に〜
調査にあたり、エクサウィザーズは「ChatGPT」など生成AIの利用状況を、レベル1(関心なし)、レベル2(関心はある)、レベル3(試しに利用)、レベル4(時々使用)、レベル5(日常的に使用)の5段階に分類。レベル5は、参加者の業務に取り入れて実際に活用しているかどうかを聞いたという。
その結果、レベル5の「業務に取り入れて日常的に使用している」割合は20%と、前回の7%から増加。レベル4の「時々使用している」を合わせると約6割と、前回の3割強と比べて、活用に乗り出した層が大きく増えていることがわかったとしている。一方、レベル1とレベル2を合わせた「試していない」層は1割弱と、前回の2割強から減少している。
今回の結果から、4割を占めるボリュームゾーンがレベル3「試しに利用」からレベル4「時々使用」に移った。これらの層の利用者が業務で日常的に使用するため、組織内の活用環境の整備が求められていると同社は述べている。
業種ごとの活用状況 〜金融は9割以上が自ら試す、製造での導入後れる〜
各業種とも、総じて日常的に使用するレベル5の比率が上昇。特に「金融・保険」ではレベル5が22%と、前回の4%から大幅にアップしたという。「製造」はレベル5が14%と、業種では最も低い結果になっている。また、レベル5の回答がなかった「建設」と「電力・ガス・運輸等」において、それぞれ18%、15%となっている。「卸・小売」、「医療・製薬」は、特に活用が進みレベル5とレベル4の合計が7割以上と、実利用が最も進む業種となった。
導入対象 〜全社導入は日常利用の比率が高い〜
「全社的に導入」した企業における、レベル5(日常的に使用)の割合が31%と、特定部門で導入(19%)や希望者のみ導入(15%)に比べて10ポイント以上高いことがわかったという。全社で導入するにあたり、生成AIの利用方針を定め、各部門から出てきたベストプラクティスを共有するなどで、活用が促進されていると考えられるとしている。
役職別の活用状況 〜経営層の5割以上が利用、壁打ちなどに活用〜
役職別で見ると、社員クラスのレベル5(日常的に使用)が前回の9%から27%と大きく伸びている。レベル4(時々使用)とあわせると3分の2が活用していることになる。
経営層もレベル5と4をあわせて56%と、前回の28%から伸長。用途としては他の役職と同様に文書作成が1番だが、アイデア出しや壁打ちなどにも活用していることがわかったという。経営層の活用による理解が進むことで、全社での全面的な導入や実業務への適用が進むことが期待されるとしている。