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パブリックアフェアーズと非市場戦略

電動キックボードLUUPの事例から考える、イノベーションを生むルール設計とは──実践者鼎談・後編

ゲスト:株式会社Luup 池上翔氏、経済産業省 坂下大貴氏、マカイラ株式会社 城譲氏

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 パブリックアフェアーズについて、電動キックボードなどのシェアサービスを提供するスタートアップのLuup、マイクロモビリティ推進協議会で事務局を務めるパブリックアフェアーズ・コンサルティング会社のマカイラ、各種制度運用に携わる経済産業省の担当者が鼎談する。前編ではパブリックアフェアーズそのものや関連する制度について聞いた。後編となる今回は、公道利用が可能になった電動キックボードを例に、パブリックアフェアーズの実例について聞いていく。

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電動キックボードのシェアサービス事業者における実証実験

──LUUPも含めた電動キックボードのシェアサービスを提供する各社が参加する「マイクロモビリティ推進協議会」では、どのような制度を使って、パブリックアフェアーズを実行してきたのでしょうか。

池上翔氏(以下、敬称略):2023年7月1日に改正道路交通法の施行によって、特定小型原動機付自転車という新たな車両区分が設けられ、それに該当する電動キックボードは、16歳以上であれば運転免許不要で、ヘルメット着用は自転車と同様、努力義務として公道で乗れるようになりました。経緯を順に説明しましょう。

 2019年5月、マイクロモビリティ推進協議会という業界団体を立ち上げ、これにLuupも加盟し、Luup代表である岡井が協議会の会長に就任しています。道路交通法改正までの行政との活動は、この団体を中心として実施しました。2019年10月から規制のサンドボックス制度を使った実証実験を実施。2020年10月からは新事業特例制度を活用して約3年間、二段階に分けて実証実験を行っています。

──規制のサンドボックス制度ではどのような実証実験を行ったのでしょうか。

池上:主に公道に当たらない土地での走行実験です。電動キックボードは当時、そもそも道路交通法上どの車両区分に該当するかが明確に定まっておらず「既存の枠組みに当てはめるとしたら、近いのは原動機付自転車かな……?」といった状況でした。仮に原動機付自転車だとすると、公道では(原付の)運転免許証やヘルメットの着用が必要で、制限速度は30キロ(で速すぎる)ということになります。ですが、先んじて電動キックボードが普及していた世界の状況を見ても、それは現状にそぐわないというのが協議会の認識でした。そこで電動キックボードはどういった車体で、規制はどうあるべきなのかを実験を通じて確認することになりました。

 具体的には、横浜国立大学のキャンパス内の一定空間を公道に見立て、歩行者もいる状態で、どのように走行するのが現実的なのかを何度も実験し、データを集めました。次いで新事業特例制度を使って、公道に電動キックボードを登場させることが叶ったのです。その間も走行データや利用者アンケートなど、様々なデータを集めては提出し、最終的に電動キックボードのうち一定の保安基準を満たすものは、原動機付自転車の一類型である「特定小型原動機付自転車[1]」と位置付けられることになりました。

池上翔
株式会社Luup 広報・渉外部 部長 政策渉外/リスクマネジメント担当 池上翔氏

[1]経済産業省『特定小型原動機付自転車(いわゆるキックボード等)について

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この記事の著者

納富 隼平(ノウトミ ジュンペイ)

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