IDEO、スタンフォードのプロセスに共通する点
デザイン思考のプロセスには、「必ず◯段階の過程を経なければいけない」といった絶対的な基準は存在しない。IDEOにしても、ジェネラルマネージャーが執筆した書籍『発想する会社!』で紹介されているプロセスと、非営利活動に特化しているIDEO.orgでは紹介されるプロセスがやや異なっている。
書籍では6つに分けられている。
- 制約条件などを把握する「理解」
- ユーザーの行動を捉える「観察」
- アイデアを生みだす「ブレインストーミング」
- アイデアを視覚化させる「ラピッド・プロトタイピング」
- 複数のプロトタイプを改良する「ブラッシュアップ」
- 市場へアイデアを届ける「実現」
一方のIDEO.orgでは7つだ。
- ユーザーの行動を捉える「観察」
- ユーザーを動的に理解する「ストーリー」構築
- ユーザーの情報を元に行う「テーマ」設定
- 価値創造のチャンスを見出す「機会」発見
- アイデアを固めていく「解決策」考案
- アイデアを可視化させる「プロトタイプ」
- 実現に必要な能力を評価・確認する「実行プラン」作成
また、IDEOがデザイン思考を実践する組織なら、スタンフォード大学d.schoolはデザイン思考を教える組織であり、5つのプロセスが提示されている。
- ユーザーに寄り添う「共感」
- インサイトを抽出する「問題定義」
- コンセプトを生みだす「創造」
- コンセプトを形にする「プロトタイプ」
- プロトタイプを使ってフィードバックを得る「テスト」
3つのプロセスをそれぞれ細かく見ていくと、共通点が浮かび上がる。それは、分析的思考に代表される「収束のためのフェーズ」と、直観的思考に代表される「発散のフェーズ」が交互に位置づけられている点にある。では、このことがどんな意味をもたらすのだろうか? 2つの思考法における正反対の特徴を、スムーズに融合しているのがデザイン思考のプロセスだ。