デザイン思考は多様性を持つ組織の「共通言語」

第8回

 前回の記事では、デザインは問題解決であると定義した。今回は、デザイン思考が問題解決のために異分野の知性を統合するプロセスであることを紹介したい。そのために、分析的思考と直観的思考の比較、デザイン思考のプロセス例としてIDEOやスタンフォード大学d.schoolで活用されている構造を紹介する。

[公開日]

[著] 柏野 尊徳

[タグ] スタートアップ ビジネスモデル デザイン思考 競争戦略 マーケティング

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分析的思考と直観的思考は対極に位置する

 一言で言えば、デザイン思考は問題解決のための思考法だ。思考法としてのデザイン思考を理解するために、特徴が異なる「分析的思考」と「直観的思考」をそれぞれ紹介したい。

 分析的思考の特徴は「再現性」にある。たとえば、自分の血液型を調べるために検査を受けるとする。その際に、「病院はどこか」「医者は誰か」「検査の時間帯はいつか」などは、結果に一切影響を与えない。何千回検査をしてもA型はA型、B型はB型という信頼できる結果が出る。属人的要素を排除できるため、常に一定の結果が保証される。

 しかし、欠点もある。出てきた結果の価値を判断できないのだ。どこかの企業が「血液型検査」を始めたとする。検査結果は間違いないとして、それがユーザーに対して何か新しい価値を提供するだろうか?…その可能性は低いだろう。

 価値提供であれば、「直観的思考」がより優れている。たとえば、タイプライターは、ピアノの演奏を聞いていたクリストファー・ショールズが、「鍵盤で叩くこと」に「文字を書くこと」を結びつけた結果、誕生した。パソコンに必須のキーボードも、彼のひらめき無しには存在していなかっただろう。

 世代を越えて価値を提供し続けるアイデアをショールズは生み出したが、「どうすればそのようにアイデアを生み出せるのか?」と聞いたところで、「まず最初にこれをやって、次にこれをやれば必ずうまくいく」という再現性のある答えは返ってこない。直観的思考は他の人が真似できないプロセスだとも言えるし、だからこそ誰もが思いつかない価値あるアイデアを生む可能性があるとも言える。

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