“行動につながる”課題を設定する
解決すべき課題はユーザー中心で想定しなければならないが、製品やサービスに真摯にフォーカスしているからこそ、ユーザーの視点に立つことを忘れがちになる。このような状況を変えるために有効なのが、穴埋め式の課題設定方法だ。
〇〇にはチームメンバーが気になるユーザー層を設定する。通常の市場調査のように、細かなセグメントをする必要はない。「音楽好きな人」といったざっくりとした内容で十分だ。□□は、解決策そのものではなく、ユーザーの現状が改善するような方向性が含まれているものを当てはめる。
例)
- どうすれば音楽好きの人に、自宅で生演奏を楽しめる環境を提供できるか?
- 携帯ユーザーに対して、どうすれば人間的な通話体験を提供できるか?
設定した課題が妥当かを判断するポイントの1つは、チームメンバーの興味である。イノベーションを生み出そうとする新規事業創造の際は、そもそも何が本当の課題なのかわかっていない。うまく設定できたとしても「そこに市場はなかった」と後々判明する可能性が高い。
そのような前提を考えるのであれば、重要なのは「正しい課題」ではなく「行動したくなる課題」となる。メンバー全員が「この課題を解決したい」と思えるような内容であれば、次の行動が生まれる。行動すれば、必ず新しい発見が得られる。その蓄積がイノベーションのきっかけには欠かせない。