三菱総合研究所(MRI)は、研究レポート「CX2030:非言語情報のデジタル化がコミュニケーションを変革」を発表した。
同レポートでは、独自の視点から非言語情報のデジタル化に着目してその意義を明らかにし、具体的な利用イメージとともに様々なコミュニケーション上の課題が緩和・解消される未来について考察しているという。
研究成果の概要
同レポートは5章構成となっている。第1章では、コミュニケーションにおける非言語情報の重要性を概観するとともに、非言語情報をデジタル化する意義を整理した。第2章では、非言語情報とV-Tecの関係性を整理。V-Tecの代表的な活用環境であるメタバースの構成要素(3Dバーチャル空間、オブジェクト、エージェント)は、接触行動以外の非言語情報を良好に再現できることがわかるという(図表1参照)。アバターの外観が操作者自身の心理にまで影響を及ぼす「プロテウス効果」や、デジタルヒューマンに情動の認識・表現機能を加えた「アフェクティブ・デジタルヒューマン」についても言及している。
第3章では、有効性が確認されているV-tec関連研究領域として、学習・教育・技能伝承領域、医療・健康・ヘルスケア領域、およびその他のコミュニケーション応用領域での研究の現状を取りまとめている。
第4章では、コミュニケーション応用領域の発展として、非言語情報のデジタル化による社会課題の緩和・解消の可能性について考察。情報関連サービスの品質や生産性の向上、コミュニケーション阻害の解消、生活アシスト/孤独感抑制によるQOL向上などの効果が期待される。一例として図表2に、様々な生活シーンでのパーソナルアシスタントの利用イメージを示しているという。
最後に第5章では、デジタル化した非言語情報が社会に浸透するために解決すべき技術的、非技術的課題を整理。同レポートを通じたカギとなるメッセージは以下の3点だとしている。
- 非言語情報のデジタル化&活用によりコミュニケーションの強化・拡張が進む
- プロテウス効果やアフェクティブ・デジタルヒューマンなどのデジタル化非言語情報の活用技術により、コミュニケーションに関わる多様な社会課題が解消・緩和されることが期待される
- 社会課題をビジネスで解決するための手段の一つとして、今後の発展に注目していく必要がある